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2005年5月29日 (日)

国鉄赤字はどこに原因があったか。

  「木を見て森を見ず」「坊主にくけりゃ袈裟まで憎い」などという言葉がありますが、国鉄の赤字の原因が無愛想な労働者たちが働かなかったからだと信じている人がたくさんいます。そもそも国鉄の赤字は何時、どのようにして発生したのでしょうか。 

  初めて国鉄が赤字に転落したのは1964年、東海道新幹線が開通した年です。東京オリンピックが開催されるのに合わせて建設された訳ですが、それまでは健全経営が行われていました。そして実は案外知られていないのですが、分割民営化の政府方針が決定された80年代前半にあっても、国鉄の一日の経営利益は9億円有ったのです。国鉄の赤字を語る上でけして忘れてはならないのが、鉄建公団の存在なのです。鉄建公団とは何か、名前の通り鉄道を建設する公団です。最近で言うならば道路公団を例に挙げれば分かり易いかと思うのですが、採算に関係なく兎に角鉄道さえ造ればよいと言う公団で、「我田引鉄」等という言葉が有ったくらい政治家の利益誘導、選挙の票集めのためにローカル線を次々に建設していきました。

  本来ならばインフラ整備として建設費用は国費で負担すれば良い物を、全て国鉄の営業利益から返還するよう定められていたのです。64年に初めて生じた赤字は、以後累積債務として増大を続け、分割民営化が行われた87年には47兆円に膨れあがります。これをどうするかということで中曽根内閣が行ったのが、まず最初にマスコミを巻き込んで「ヤミ・カラ」キャンペーンで国鉄労働者を悪者にすることでした。そして、「国鉄の赤字は国労や動労が働かないでストばかりしているからだ」「だから組合を叩きつぶすために分割民営化が必要だ」という論理を振りかざしたわけです。 

  実際には当時の中曽根内閣が「戦後政治の総決算」を掲げて、国労解体から総評解体、そして社会党の解体を行い、「教育改革」をして、憲法を改悪するという狙いを持っていたのです。この辺の経過や真の狙いについては昨年出版された中曽根元総理の回顧録「自省録 歴史法廷の被告として」にあけすけに書かれています。

  分割民営化の過程で10万以上の国鉄労働者を退職に追いやり、国労の屈服と動労中央の裏切りとを作り出した訳ですが、その後も各種の首切り合理化を行う中で現在ではJR全体で10万そこそこの職員しかいません。何処で人員を減らしたのか。先ず赤字ローカル線の廃止です。次いで保線作業の外注化、点検修理の間隔を空ける事で要員が減っても取り敢えず業務が回るようにしました。しかしその陰では安全の切り捨てが着々と行われていたのです。消費電力が少ないからと言って車両の材料を鉄からアルミに変更しました。尼崎事故では車体がアルミであった事が被害を大きくしたといわれています。西日本の場合、私鉄王国と言われる状況を逆転するために様々な安全切り捨てが行われたのは各種マスコミの報道で明らかにされています。一人の運転士がミスをしたと問題を矮小化する事では絶対にJRの安全無視の体質は無くなりません。

  さて並木さんは尼崎事故の責任を運転士一人に押しつければ良いとの考えのようですし、郵便局の職場での問題を様々に指摘して郵政の民営化についても賛成のようです。しかしどんな組織にも良い者も悪い者もいます。十把一絡げに考えるのは良くないのではないかと思います。現場で働く者の感覚では、郵政民営化の準備のために職場の各種合理化が行われ、要員が減る一方で業務は増大し、そのために単純なミスが頻発していると思うのです。クロネコに任せれば良いともおっしゃっていますが、郵便物の誤配の苦情で謝りに行ったら、クロネコのメール便だったというのは日常茶飯事なのです。

  国有財産の横領についても並木さんは身近な、一職員による犯罪と混同しておられます。僕がこのブログで問題にしたのは国鉄の全財産を、国民の税金で作り上げた財産を、今では三菱や住友等の財閥が支配しているという事、これから郵政の国有財産についても同様の事が行われようとしているという事です。郵貯・簡保の保有資金を外資に任せれば増やしてくれるなどと考えておられますが、殆どは投機的手段によるマネーゲームですから、気がついたら全てすっている可能性の方が大きいでしょう。ついでに財投などで食い物にされる前に外資に売り払えばいいとの事ですが、小泉政権は道路公団「改革」に失敗して、出口で支出を止める構造を作れませんでした。政財官の癒着構造、利権構造はそのままですし、これらの既得権益を手放さないであろう事は火を見るより明らかだと思います。

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コメント

 1ユーザーさんがどの様なつもりで書き込みしてきているのか知りませんが、郵便局に連絡のある誤配の相当数はクロネコメール便について物です。

投稿: アッテンボロー | 2005年10月 9日 (日) 21時19分

 私は大切な手紙、荷物はぜったい郵便ではおくりません。かならずクロネコヤマト・メール便を使います。

投稿: 1ユーザー | 2005年10月 9日 (日) 21時11分

まさに貴方の言うとおりです。ヤマト、佐川いい加減な人いるでしょう。では公社にはそういう人はいないのですか、私はヤマトに手紙託したくとも出来ません、規制されているからです。同じ条件で競争する環境が欲しいのです。国鉄の赤字国鉄の国家支配に原因が有るとすれば当然民営化での自主管理に任されるべきです。当時の民営化も国の横槍を防ぐ為でもありました。事故原因については運転手を血祭りにしろと言っているのではありません。まず真の原因は検証しなければいけないと言っているのです。例えば公社のファミリー運送会社の運転手がうっかりしてインターを降りそこなったとして、30分の遅れをだしたとします、事故の巻き添えで10分遅れましたと虚偽の報告して20分をスピードをオバーして取り戻そうした結果事故に成りました。これは郵便を翌朝配達する為の過密スケジュールのせいだ、運転手にプレッシャーをかけた公社のせいだと言うのでしょうか。事故だ民営化のせいだと即決め付けるのはおかしいし、本当の原因から会社の体制に遡るべきだと言っているのです。外資の例は一例で民営化により様々なが効率のいい運用につながるといっているのです。道路公団は改革は必要ないという意見なのか、改革に失敗したと言う意見なのかどちらですか。道路公団の改革がうまくいけば民営化に賛成なのですか。言い忘れましたが小泉君の民営化案に賛成ではないのです民営化の方向に賛成なのです。やる気のある皆さん国の支配から脱却して正々堂々と民営化して勝負してみませんか。

投稿: 並木 | 2005年5月30日 (月) 08時22分

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私も国鉄解体は、当時の労働組合や総評の解体が第一目的と思います。 とはいえ、その後、民営化されることにより、サービスが、変わったのも事実だと思います。 赤字の原因はやはり、政治家、官僚等の既得権益者が、無駄な投資をしたからでしょう。 [続きを読む]

受信: 2005年5月30日 (月) 19時06分

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