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2006年2月24日 (金)

「帝国主義論」その5

 「『帝国主義論』その4」から少々間が空いてしまった。「現代帝国主義論Ⅱ」をようやく半分、第一章まで読み終えたところである。「三四郎日記」の方でも「帝国主義論争(帝国主義について~その5)」として私の記事に対する反論を書いて貰っている。その中で共産党と中核派との際だつ違いとしてでているのが、レーニン「帝国主義論」を現代に適用するかどうかと言う問題だと思う。先ず私が要点としてまとめた「レーニンが『帝国主義論』の中で述べたかったことは、資本主義社会の発達によって金融独占資本が社会を支配するようになり、その事によって自由主義段階から帝国主義の段階になっこと言うこと、帝国主義段階においては資源と市場の争奪を巡り少数の帝国主義列強による世界の分割支配が必然となり、発展の不均衡によって先行した帝国主義に対して後発の帝国主義が世界の再分割を巡って政治的・軍事的に挑戦すること、資本主義の矛盾は恐慌ではなく世界戦争の爆発によって「解決」される時代になったこと。そして帝国主義段階にまで発展した資本主義は寄生的で腐朽しており、労働者人民の手によって打倒されることによる共産主義社会の前夜とも言うべき状態であると言うこと。」については「アッテンボローさんがここでまとめられていることは、概ね正しいと思う。」「レーニンが述べているのは、資本主義の最高段階としての『帝国主義』論。その当時の分析としては、基本的に正しかったと思う。なので、拒否反応の示しようがない。ただし、レーニンのこの規定を現代の情勢分析にそのまま当てはめてしまうことに対しては、『拒否反応』を示してしまうかもしれない。」と答えているわけです。

 現代に帝国主義論が適用できないと言うことは、どういうことなだろうか。帝国主義は資本主義の最高の段階であることは認めて貰っている。と言うことは現代も帝国主義段階である。だが現代の情勢分析に当てはめることは出来ないのだそうだ。私はアジア諸国における日系資本による搾取について引用をした。この問題を小川さんは単に「この事実と、現状と『帝国主義』についての分析とは、直接的には関係がない。現状分析に『超帝国主義』が妥当かどうかと言う議論とも関係がない。逆に問えば、『資本主義的な労働者搾取が存在すれば、その時点で帝国主義なのか?』ということになろうが、そんなことはないだろう。」と書いている。だが実はこの事こそが帝国主義段階特有の搾取のあり方なのだ。「帝国主義論」第八章は「資本主義の寄生性と腐朽」という題である。レーニンは「帝国主義の最も本質的な経済的基礎の一つである資本輸出は、金利生活者層の生産からのこの完全な断絶をさらにいっそう強め、いくつかの海外諸国と植民地の労働を搾取することによって生活する国全体に、寄生性という刻印をおす」と書いている。つまり簡単に言うと日本などにおける産業の空洞化とアジア各国への工場の移転である。本国に於いては得ることの出来ない超過利潤を資本輸出によって得る段階が帝国主義のあり方なのだ。そして市場と資源と労働力を得るために生じるのが、帝国主義による世界の分割・再分割である。そしてこの分割のための戦争が帝国主義相互の物であれ帝国主義から植民地諸国・半植民地諸国に対する物であれ、帝国主義戦争なのである。

 共産党の反戦闘争が中途半端であることを指摘したことについて。私は「党員だけで10万以上の集会を開くことは十分可能」と書いた。「党員だけで」というのが主張の重要な点なのだが、小川さんには見落とされてしまったようで、「実際に全国規模レベルでは数十万人規模の集会は行われた。東京でも10万規模の集会は行われた。にもかかわらず、戦争は止められなかったし、直後の衆議院選挙では共産・社民など反戦勢力が議席を後退させた。」と書かれてしまった。共産・社民の03年衆院選の得票は覚えていないのだが、昨年9月の場合両党併せて800万票ほどあった。民主党・連合の影響下にあってもイラク侵略戦争に反対した労働者は広範に存在する。もしこの場合闘う指導部が存在していれば日本だけでも数百万人が参加する集会・デモ・ストライキを打つことの出来る情勢であったと思う。私はそれをして革命情勢と言ったのだが、小川さんは「2003年から2004年の情勢を『革命的』『革命に転化しうる』と見るのは間違っている。革命的な情勢ならなぜ今井君や高遠さん達に『自己責任』『非国民』などという罵声が浴びせられるのか?彼らの行っている活動こそ『革命的』ではなかったのか?」と情勢が巻き起こした反動を見て勝利の希望を見失ってしまっている。マルクスは「革命は密集せる反動を作り出し、これを打ち破って前進する」と語っている。革命情勢に於いては反動もまた激しくなるのだ。03年~04年の情勢は、反動の側の危機感を上回る戦闘意欲で立ち向かっていれば一気に革命情勢に向かうことが出来たであろう。当時の私はかろうじて現役活動家であったのだが、集会・デモには飛び入り参加者の数が組織動員された学生・労働者に数倍する物があった。中核派ですらそうであったのだ。共産党の方が参加しやすい運動の筈である。

 独仏がイラク戦争に反対した問題で言えば、「独仏がイラクに石油利権を持っていて、それが戦争に反対した要因の一つであることは認めるが、『参戦しなかった』最大の原因ではない。」というわけであるが、確かに当初反対していた独仏両国も最後には米帝に押し切られる形で戦争に協力した。そしてその事を持って、「『世界帝国主義は米英日を枢軸とする陣営と独仏を中心とする陣営とに分裂を始めているのだ。そしてそれは、労働者の帝国主義打倒の共産主義革命がない限り、必ず第三次世界大戦へと突き進んでいく』という中核派の見解は、事実誤認だ。」と言うのだが、独仏はイラクに有する権益を全部失うか少しだけでも残すかという二者選択を迫られ、後者を選んだに過ぎない。現時点での米英日枢軸との力関係から渋々イラク侵略戦争に協力する道を選んだのだと言える。今日独仏はEU独自のGPSをガリレオ計画として開発しているのだが、元々GPSは米帝が誘導兵器のために開発した軍事技術である。既に確立されている物を巨額の開発費を投じて構築しようとすることに、独仏が自前の誘導兵器を持とうとしていると見ることは出来ないであろうか。独自の経済圏としてのEUその物が実はブロック経済なのである。世界経済は既にブロック化による分裂過程に入っているのだ。

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