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2006年3月16日 (木)

無菌室の中の運動

 「銀河英雄伝説」の登場人物にアンドリュー=フォーク准将という自由惑星同盟の将校がいる。同盟軍士官学校を首席で卒業し、出世思考の人一倍強い人物で、同盟側の主役であるヤン=ウェンリーを一方的にライバル視していた。そして自分の願望を満たすために、非公式のルートを通じて同盟最高評議会議長ロイヤルサンフォードに帝国領への大侵攻作戦を提案する。計画自体が無謀な物であったため、同盟はラインハルト=フォン=ローエングラム帝国元帥率いる部隊の反撃に遭い壊滅的打撃を被ることになる。後方の安全な司令部で前線の指揮官たちに抗議を受けると、フォークは癇癪を起こし卒倒してしまう。彼には自分の思うとおりに動かない彼我の攻防の現実を受け入れることが出来ないのである。その後も自分勝手で我が侭な彼の行動は治らず、統合作戦本部長に瀕死の重体を負わせたり、ヤンに逆恨みして暗殺を企てるなど私利私欲と私怨が彼の行動原理である。そして自らが所属する自由惑星同盟が滅亡することに大きく「貢献」する。

 ここまで書いて、察しの良い方ならば私が誰について書こうとしているのか分かっていただいているかも知れない。ネットの世界には自分とほんの少し意見が違うだけの相手に対して、自分の思い通りの言動をしないからと言うことで執拗なまでの悪罵を投げつける人物がいる。もちろんこのような輩は何処の世界にでも存在するのであるが。政治の話題を書いているとどうしても意見の違う人々からの書き込みがある。その様な人々に対してどう対応するかによって実は中間の立場にいる人々はどちらに与するべきかを判断する。積極的に支持者を増やすためには実は敵対者・反対者に対して、現実に様々な闘争を行う必用があると私は考える。狭い世界で自分と意見を同じくする人たちだけの間でサロン的談義に耽っていては運動の広がりなどは望むべくもない。

 私自身人間が出来ているわけではないので、時々反対意見を削除する場合がある。だがしかし、現実を見て欲しいのだが最初から左翼的立場・革命の立場に立っている人が一体どれだけいることであろうか。私は現実に職場の労働運動を続けてきたのであるが、殆どの労働者は現代社会の様々な生活習慣などを通じて今の階級支配にたいする疑問を持たず、現在の社会構造がいつまでも続く物と思っている。確かマルクスは「社会を支配するイデオロギーは支配階級のイデオロギーである」と言っていたと思う。労働者の権利を企業の存続の遥か下に考える「企業防衛主義」などはその典型である。では現時点で支配階級に取り込まれている人と相対したときに、徹底的に批判すれば相手を革命の立場に移行させることが出来るのであろうか。もちろん支配階級の御用学者や労働貴族として取り込まれている連中ではなく、ごく一般の職場の労働者を相手に考えて欲しいのだ。

 職場や労働組合を労働者大衆を獲得するためには、先ずあるがままの現実の労働者を受け入れることから始めなければならない。相手の立場、生活環境から生い立ちまでを先ず受け止めた上で、そこから出てくる反動的意見・見解に対して粘り強く労働者の階級性・階級的な物の見方・仲間を大切にする生き方を提起し、獲得する必用がある。本のささやかな一致点から始めて対象の人生観その物を革命の立場、階級的立場に移行させなければならない。象牙の塔に籠もって自分の学説だけを唱えていればいい学者さんと、革命家や活動家は違うのだ。自分の思い通りにならないからと癇癪を起こしていては、大衆を獲得することは出来ない。味方を増やし運動を広げることは出来はしない。レッテルを貼って非難罵倒の嵐を叩きつけるだけでは却って敵を増やすだけにしかならない。そして、本来自分が属するはずの運動や団体を先細りさせ、脆弱な物にするだけの、実は犯罪的な行為であると思う。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

なぜか、アクセスできない??こちらから掲示板に入ってみてください。
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/wasureyuki6

投稿: うりぼう | 2006年5月 6日 (土) 00時26分

左翼のイメージって内ゲバ、粛清しか思い浮かばないんですよ。元日共シンパの自分ですらそうですから世間一般では左翼のイメージって最悪なんでしょうね。反スタ系の左翼も然り。もちろん、権力闘争は右派もあるんですけどね。
ところでアッテンボローさんは、懐が深いというか我慢強いというか左翼の中では、異色ですね。左の人は異なるイデオロギーの人とコミュニケーションをとることは、苦手な人が少なからずいますね。こちらの掲示板http://tcup7019.at.infoseek.co.jp/sakurazaka10/bbs で管理人と高校教師Kという人のやりとりが間抜けです。もしかしたら既に削除されているかもしれませんが。私もこちらの板で書き込みをしたら即効で削除されたり何故か全く面識のない南雲和夫という人から罵詈雑言を受けました。(笑)

投稿: うりぼう | 2006年5月 5日 (金) 23時05分

  HISAさんお疲れ様でした。職場も本格復帰になると大変なことが色々出てくるでしょうが、「適当に」するのが一番良いようです。出来るだけのんびりやって下さい。

投稿: アッテンボロー | 2006年3月19日 (日) 10時26分

 ありがとうございます。「大衆ズブズブ路線」でいきましょう!
 お体、休めてください。僕は昨日、伯父伯母の所へでかけ、数時間ほど話し込んできましたが、今朝起きると、頭が重いです。それも、いつもとは異なる部分に重さを感じます。きっと、「数時間という会話」によって、普段本を読んだりしている時に使うのとは別の脳の部分が働いたのだと思います。目から入ってくる情報を処理するのと、耳から入ってくる情報を処理する脳の部分は、異なるのでしょうね。本格的に仕事復帰したら、こういう疲れも経験することになるのだなぁと、感じました。精神も結局は脳という肉体の作用の結果・反映ですものね。体・肉体を休めることが、病気の回復には遠回りなようで、実は近道なのだと、あらためて認識した次第。

投稿: HISA | 2006年3月19日 (日) 10時10分

  HISAさんお早うございます。昨日は寝てばかり居たので返事が遅くなりました。
 中核派に限らず大衆と結びつく能力のない運動は発展しないと思いますので、「大衆ズブズブ路線」で良いと思います。もっと中核派が大衆的になって欲しいです。
 カクマルに関しては私も「解放」を読んだくらいで、本は読んだことがないのです。ですからお薦めの本、あるいは批判のための必読書というのは分かりません。

投稿: アッテンボロー | 2006年3月19日 (日) 09時35分

 非常に誠実で、率直的な↑「反省文」ですね。とても好感がもてました。常に自戒の念をもちつつ、悪意なき無知な市民を一人でも多く運動側に獲得していく、という謙虚な姿勢は大切だと思います。
 少し話題はそれますが、中核派はその初期の頃より、いわゆる大衆の抵抗運動にコミットする路線を重要視している組織だと(個々の評価は別として)認識していますが、革マル派は、そうした中核派のことを相変わらず「大衆ズブズブ路線」って、批判しているんですかねぇ。アッテンボローさんのお薦めもあり、中核派系の書物には目を通すようになった僕ですが、革マル派系のものには触れたことがなくて、よくわかりません。ちなみに、僕の新左翼運動、特に中核派や革マル派についての知識は、『中核VS革マル派』(立花隆、講談社新書、1985年)、それと、大学入学時(1986年頃)に、革マル派から勧誘されて拒否して苛められた頃に少し調べた程度のものです。

投稿: HISA | 2006年3月18日 (土) 13時29分

 華氏451度さん、お早うございます。コメント有り難うございます。対話を通じて仲間を増やせるよう、意見の違う人のうち真面目な方、素朴に世間一般の論調に巻き込まれている方は尊重すべきですね。中々思うようには行きませんが出来る限りの努力をしたい物です。

投稿: アッテンボロー | 2006年3月17日 (金) 07時46分

> 政治の話題を書いていると(略)中間の立場にいる人々はどちらに与するべきかを判断する

言われる通りだと思います。単なる「罵倒のための罵倒」には正直なところ対応の仕様がありませんが、「違う意見」を真面目に書いてくれる人たちとは、出来る限りのエネルギーを費やしてコミュニケーションをはかりたい。社会運動においては、「作らなくてもいい敵を作る」ことだけはやりたくないと私も思っています。

投稿: 華氏451度 | 2006年3月17日 (金) 04時33分

 お名前がありませんが、銀英伝がお好きな方のようですね。私も査問委員会の場面は大好きです。別記事で少し今の日本の民主主義と言いますか、言論・思想・表現の自由が危うくなっていることを書いています。今私たちにもヤンに学ぶ必用があると思います。

投稿: アッテンボロー | 2006年3月17日 (金) 01時33分

ヤンの真骨頂は…「査問委員会」の場面だったと思います。

ヤンは、「帝国vs同盟」というなかで、尚かつ「民主共和制」を防衛しなければならないと言うことを、同盟側に対しても、だからこそ「ローエングラム朝」に対しても突きつけた…その後継者は身をもってね。

投稿: | 2006年3月17日 (金) 01時22分

 ちびさん今晩は。ある意味反省文と取っていただいても構いません。何故なら私も職場でオルグを始めた当初は些細な意見の食い違いでかなり激しく相手を論難したことがあります。出来るだけその様にならぬよう気をつけてはいますが、それでも時折はありますね。
 唯、右翼の方がもっと些細なことで論争ではなく殴る蹴るの暴行を加えますね。日本の右翼は基本的にヤクザですから。

投稿: アッテンボロー | 2006年3月17日 (金) 00時27分

この記事はご自分の反省文なんでしょうか?
私は貴方の書く記事を面白いと思ってROMさせてもらっているのですが、時折貴方が見せる「非常識な罵倒」で「左翼ってやっぱり怖いんだな」と思う人が沢山おられるように感じます。

投稿: ちび | 2006年3月16日 (木) 22時32分

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