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2006年5月29日 (月)

はつてんじん

 一昨日から息子は「はつてんじん初天神」という絵本がお気に入りだ。医大病院の小児科病棟には、市立図書館から貸し出された絵本や図鑑が沢山置いてある。病室で退屈しているだろうとビデオやオモチャを与えているのだが、それだけではほったらかしで可哀想なので、何冊かの絵本を読んでやった。その内の一冊が古典落語の「初天神」を絵本化した物で、作者は川端誠、出版社はクレヨンハウスという会社である。古典や落語がお好きな方であれば内容はご存知であるが、息子に読み聞かせると、とても気に入って何度も繰り返し呼んでくれとせがむ。

 新年最初の天神さん参りを初天神と言い、1月と2月の25日には縁日でもあるのでたいそう人が多い。お父さんが出かけようとすると女将さんが「金坊も連れて行っておくれ」と言う。お父さんは「私はあの子の親だけどあの子は嫌いだ。出来の悪い子だ。まったく親の顔が見たい」「それはあんただよ」と言う冒頭から笑わせてくれる。金坊を連れて行くことになり、「あれ買って、これ買ってと言わないで良い子にして居るんだよ」というとすかさず金坊「ウン、良い子にしているから綿飴買って」と答える。「早速そう来たか。今言っただろ」「あれや、これは要らないから、綿飴買って」「綿飴か。あれは・・・ 甘いから毒だ」「じゃあカルメ焼き買って」「あれも甘いから、毒だ」「じゃあたこ焼き買って」「たこ焼きか。たこは固いから、毒だ」「じゃあお好み焼き」「とにかく毒だ」「じゃあ」「毒だ」「何も言ってないよ」という調子で親子で丁々発止のやり取りが続く。私も出来るだけ感情を込めておどけつつ読んでみせる物だから、息子は大笑いである。はしばしに「あれ買ってこれ買ってって、○○みたいやな」とか、「この父ちゃん子供みたいやなあ」などと適当に合いの手も入れる。それがまた受けるのである。「お父さんもう一回読んで」と何度も何度も繰り返し読むハメになる。

 病院でも息子は同室の男の子と友達になって、タイボウケンを貸し借りしたり、デュエルマスターズとやら言うゲームのカードをやり取りしたり、結構仲良くしている。やはり同室の赤ちゃんが、お母さんが面会者への応対で席を外している間に泣き出したときは、一所懸命おどけてあやそうとしている。私も抱き上げてあやしたのだが、人見知りをされて却って泣かれてしまった。その赤ちゃんのお母さんはお母さんで、私が帰った後で息子が泣いているところを宥めてくれたりして持ちつ持たれつである。

 で、表題の初天神なのだが、夕方娘達と犬の散歩をしているときにその話を思い出しつつ語ってやると、これまた大笑いである。さわりだけを話すつもりが、気がついたら落ちまで話していた。次女が「その本借りてきて」という。長女も同意する。散歩が終わって病院に顔を出しに行く。今日は腎生検なので朝から妻が付き添い泊まり込みで24時間付くことになっているのだが、それでも息子の様子が気になる。妻の話を聞くと局所麻酔をかけただけで、針を刺して腎臓の細胞をエコーで見ながら摘出するのだが、痛い痛いと泣きながらも二つ採取することが出来たそうだ。本当は三つ取りたかったそうだが、痛がる子供の場合一つも取れずに終わることもあるそうで、息子は我慢した方らしい。その後点滴をして添え木で腕を固定するのだが、大学病院では注射などは研修医が練習のためにすることが多いので看護婦さんの技術は民間に比べると劣っているようである。四五回針を刺しても上手くできないため妻が変わって点滴の針を刺し、添え木を固定する。大学病院の看護婦さんに感心されたそうだ。

 私が病室に行って「はつてんじん初天神」を手に取ると、息子は手渡してくれと頼み、大事そうに抱きかかえる。古典落語の素晴らしさに触れるのも良い物だと思ったので、取り寄せてやると約束した。帰宅してからネット通販で注文する。ついでに「反米嫌日戦線『狼』(美は乱調にあり)」の死ぬのはやつらださんが紹介していた「快楽亭ブラックの放送禁止落語大全」も一緒に注文した。内容は天皇一族を徹底的にコケにした物を含む痛快な物である。何故か落語に目覚めた私であった。

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コメント

 昔話も結構好きですね。何冊か息子もお気に入りの本があります。本格的に腎臓病となった場合激しい運動が出来ませんので、文学青年になるよう本を出来るだけ読んでやった方が良さそうです。

投稿: アッテンボロー | 2006年5月30日 (火) 23時12分

やっぱりこう日本の物語っていいですよね。
こういう話が好きなら、「日本昔ばなし」など見せてみてはどうでしょう。
結構喜ぶと思いますよ。

息子さんお大事にー

投稿: 久々 | 2006年5月30日 (火) 20時42分

 なんだかねえさん、きっちょむさんも面白いですよね。息子が古典を好きになるように、色々読み聞かせるのも良いか知れませんね。
  Andanteさん、お早うございます。絵本の題名でしたのでひらがなで書いたのですが、直ぐには分かりにくかったようですね。落語には疎かったのですが面白い物だと改めて気づきました。
 幼くしてお父上を亡くされたのですね。色々あったでしょうが。
 うちはだいこ氏とのことは気にしないで下さい。先日もメールで批判されましたから、中々に執念深い人です。

投稿: アッテンボロー | 2006年5月30日 (火) 07時26分

こんにちはAndanteです。

 はじめ、タイトルを読んだとき「発展人」と思ってしまいました。
発展=progressだから、前衛か何かのことを指す言葉かと・・・

いかん、最近アタマがコチコチだ。

 なにはともあれ、お子さんがはやく元気になることを願っております。
 お子さんに落語を読んで聞かせてあげているアッテンボローさんを
想像しながら、すごく優しいお父さんなんだなと思いました。

「病院」それから「甘いもの」いえば、私は6歳のころ、急病で入院した父の臨終
のときのことことを思い出します。

 まもなく父を白血病にて失ったので、私自身の父親像はぼんやり
しています。親類があつまり、末期が近いときに、私と弟はなぜか病室
から連れ出され、アイスクリームを与えられました。私がそれを食べて
いるまさにそのときに、父は他界たのでした。

P.S.
 先の「うちはだいこ」とのオルタナ掲示板での揉めごとの中で
アッテンボローさんのエントリを引用したところ、彼にアッテン
ボローさんを誹謗する発言を許してしまいました。
心よりお詫び申し上げます。

投稿: Andante | 2006年5月30日 (火) 05時34分

子どものころ、きっちょむさんに一時はまったことがあります。あの有名な長いセリフを暗記して誰が一番早く言えるかとか友達と競争していましたね。

投稿: なんだかねえ | 2006年5月30日 (火) 03時24分

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