« 銃後の母の日 | トップページ | 息子が入院(>_<) »

2006年5月15日 (月)

復帰34年目の5・15

沖縄タイムスの記事より
再編混迷 痛みなお/きょう復帰34年
普天間移設 課題山積

 沖縄県は十五日、本土復帰して満三十四年を迎えた。国土面積の約0・6%の県土に、在日米軍専用施設の約75%が集中する過重な基地負担を強いられ、米軍の戦略や思惑に翻弄され続ける構図に変わりはない。今月一日にまとまった在日米軍再編の最終報告でも、嘉手納以南の六基地の全面・一部返還や、海兵隊八千人のグアム移転などが打ち出された一方、普天間飛行場の移設をめぐっては地元の頭越しに協議が進められた。普天間飛行場の移設先の住民の反発や返還後の跡地利用、基地従業員の雇用対策など課題が山積しており、先行きは不透明なままだ。

 普天間飛行場の移設をめぐっては、昨年十月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)による米軍再編の中間報告で、名護市キャンプ・シュワブの沿岸部(沿岸案)とする方針が示された。今年四月には島袋吉和名護市長が飛行ルートを集落から避けることを目的に、滑走路をV字形に二本建設する政府案に合意した。

 同案を盛り込んだ最終報告を受け、県はキャンプ・シュワブ陸上部分に暫定ヘリポートの整備を求める考えを示したが、今月十一日には稲嶺恵一知事が政府案を基本に対応する内容の「基本確認書」に署名。政府案は容認できず「政府と継続的に協議するスタート」とする県に対し、政府側は事実上の容認と受け止め、十九日にも予定される新たな閣議決定を前に、見解が分かれている。

 沖縄振興には四次にわたる計画で、これまでに八兆円を超える国費が投じられてきた。現行の沖縄振興計画(二〇〇二―一一年度)は五年目の折り返し地点を迎え、各分野別計画にも着実な成果が求められる。入域観光客数は〇五年の目標である五百四十万人を突破した。

 一方で酒税、揮発油税、物品税を軽減する復帰特別措置法は〇七年五月で期限切れとなる。酒税、揮発油税については、県や業界が軽減措置の延長を求める方向で調整を続けている。

沖縄返還からみる米軍再編

 沖縄が本土に復帰してから三十四年がたち、在日米軍専用施設の約75%を抱える沖縄は再び米軍再編という大きな転換期に差し掛かっている。沖縄返還をめぐる「密約」を告発し、日本の外交・安保問題で発言を続ける元毎日新聞記者の西山太吉氏(74)、沖縄返還の密約を裏付ける米公文書を発掘するなど日米外交に詳しい琉球大学の我部政明教授(国際政治学)に、今月一日に最終報告が出された在日米軍再編について、沖縄返還当時の状況と比較しながら、今後の問題点を聞いた。

西山太吉氏・元毎日新聞記者
日本左右する大転換期/少ない本質をえぐる報道

 ―米軍再編について。

 「世界に類をみない先進二国間の濃密な軍事同盟で、国際関係の潮流からみて奇異。米国はテロ対策を重点に軍事戦略体系を再編成し、日本はそれに一体化しようとしている。沖縄返還は日米安保変質の原点だった。一九九〇年代の日米安保共同宣言や日米防衛協力指針(ガイドライン)で大きく変容していったが、米軍再編はその枠組みをはるかに超えた究極的な変革だ」

 「(艦載機の移駐を拒否している)岩国市の反応や沖縄の負担軽減問題は、安保変革という本質から派生しているテーマととらえるべきだ。日本の百年を左右する重大な時期に、政治や民衆の反応はあまりにも鈍く、本質をえぐる報道も少ない」

 ―沖縄返還が契機とは。

 「沖縄返還で日本は米軍の基地の自由使用を受け入れ、基地固定化の土台をつくった。財政面では、施設維持経費の肩代わりをはじめ、施設区域の提供のみならず改善・移転費(=密約)も負担するようになった。この費用は「思いやり予算」に発展した」

 「米軍再編では、普天間飛行場の移設費用にとどまらず、米海兵隊のグアム移転に伴う国外への新施設建設にも莫大な金を出そうとしている。米軍と自衛隊は一体化し、米軍の基地の自由使用と施設維持経費の負担という沖縄返還時の米側の二大方針は、米軍再編で集大成している」

 ―沖縄返還と米軍再編の構図は似ているのか。

 「沖縄返還では『核抜き本土並み』だとか『沖縄返らずして戦後終わらず』といったキャッチフレーズで返還の負の側面はカムフラージュされた。米軍再編では『抑止力の維持』や『負担軽減』の名の下に、米軍と自衛隊が一体化する安保の大変革が粛々と進んでいる」

 「沖縄返還でも米軍再編でも、その厳しい代償や有効性は明らかにされていない。グアム移転費を、積算根拠があいまいなまま“つかみ金”として負担することを受け入れているところもよく似ている。米側の解釈によって、負担は今後膨らんでいくだろう」

 ―日本がとるべき道は。

 「米軍再編の起因となっているテロへの対応は、政治的、社会的、宗教的、経済的な対処が必要で、軍事はその手法の一つにすぎない。テロは軍事的な圧力をかければかけるほど分散し、抵抗を強め、反米感情を募らせていく」

 「ロシアも中国もフランスも、少しでも国益の一致できる国を見いだし、できるだけ多くの国と関係を築いて安定性を高めようとしているではないか。米国の要求をストレートに受け入れているだけでは日本は国際的な孤児になる。その最たる犠牲は沖縄だ」(聞き手=社会部・粟国雄一郎)

我部政明氏・琉球大学教授
対米支出際限なく膨張/負担軽減後付けにすぎず

 ―沖縄が本土に復帰してから三十四年。沖縄を取り巻く米軍基地の状況は何が変わったか。

 「沖縄返還の際には、米軍の役割を自衛隊が一部補完するようになったという意味で大きな転換期だった。今回の米軍再編では米軍と自衛隊の一体化が進み、自衛隊が前面に出てくるケースもある。場面によっては、これまでの主従関係が逆転し、自衛隊が主、米軍が従という関係に変わるかもしれない。この三十年の大きな変化だ」

 ―米軍再編では沖縄の「負担軽減」を強調している。

 「負担軽減より米軍の再編が先にある。米軍にとって基地を使いやすくすることが狙いで、まず海兵隊のグアム移転ありきだ。だが、海兵隊が八千人もグアムに移転して抑止力の維持が可能なのか。米国が基本方針を変えたら、お金を出してグアムに出て行ってもらうという。これでは日本政府が主張してきた海兵隊が沖縄に駐留する根拠とつじつまが合わない」

 「軍属を含めた一万七千人がグアムに移れば、もっと返還される施設があってもいいはずで、その数字も疑問。負担軽減は後付けにすぎないということだ」

 ―沖縄返還と米軍再編をめぐる背景に共通項はあるか。

 「一つは米軍から自衛隊への役割の移管、もう一つは財政支援の問題。日本側がかなりの経費を負担するようになる。沖縄返還では『思いやり予算』の原型がつくられたが、米軍再編ではグアムへの移転費という形で国外へも拡大しようとしている」

 ―国外の移設に日本が財政支出することの問題点は。

 「『思いやり予算』の原型になった基地移転費では明確な積算根拠が示されなかった。グアム移転も同様だ。負担割合(日本59%、米国41%)は決められたが、総額を増加させることによって、日本の負担分で建設できる規模になるかもしれない。今までの『思いやり予算』がそうだった」

 「米国が求める応分の負担とは、計画の規模が膨らめば日本の負担額は増えていくという意味。一度、支出してしまえばプロジェクトごとに負担を負わされる。そういう意味ではグアム移転は前例となり、負担は際限なく広がっていく」

 ―米国の思惑は。

 「基地は政治的な資産。物としての価値は目減りしているのに、米国はタイミングよく返還することによって、移設という形で元の価値以上の新しい施設を手に入れる。日本政府は基地から派生する悪影響を軽減するため多額の支出をしてきた。その悪影響をもたらしている米軍が出て行くというのだから、これで終わりのはずだ。日本が去り行く海兵隊に金を払うというのは、二重払い以外の何物でもない」(聞き手=政経部・長浜真吾)

「軍事要塞化」に反対/5・15県民大会3500人気勢

 憲法や教育基本法の改悪反対、米軍再編反対などをテーマに「5・15平和とくらしを守る県民大会」(主催・5・15平和行進実行委員会)が十四日、宜野湾海浜公園屋外劇場で開かれた。約三千五百人(主催者発表)が参加し、米軍普天間飛行場の移設先として名護市キャンプ・シュワブ沿岸部にV字形の滑走路二本を建設する案などを盛り込んだ在日米軍再編最終報告を合意した日米両政府に対して怒りの声を上げた。

 主催者あいさつした沖縄平和運動センター議長の崎山嗣幸実行委員長は「私たちの願った復帰は、核も基地もない平和憲法に帰ろうというものだった。その願いとは裏腹に名護市辺野古に巨大な軍事基地を建設しようとしている」と日米両政府を批判。「北部への基地固定化、軍事要塞化に断固として闘いを続けていきたい」を主張した。

 普天間飛行場がある宜野湾市の伊波洋一市長は最終報告に盛り込まれた普天間飛行場の移設案を批判した上で、「このような案による引き延ばしではなく、二〇〇八年までの返還、住宅地上空の飛行の停止を求めていく。普天間飛行場の解決のために長く粘り強く闘っていきたい」と参加者に訴えた。

 大会では、米軍再編による日米軍事同盟強化の阻止や憲法改悪、教育基本法改悪、共謀罪などの戦争動員法案の成立を阻止することを盛り込んだ県民大会宣言を採択。最後はガンバロー三唱や「インターナショナル」の合唱で盛り上がった。

 照屋寛徳衆院議員(社民)や糸数慶子参院議員(無所属)らも出席した。

 大会では十二日から行われていた5・15平和行進の参加者が三日間で延べ七千人だったことが報告された。

移転先住民も危機感/沖縄の現状知るほど不安に

 宜野湾市で十四日開かれた「5・15平和とくらしを守る県民大会」には、本土各地から大勢が参加し、米軍再編の問題点を共有した。最終報告で、嘉手納基地のF15戦闘機や、普天間飛行場の空中給油機の移転先とされた航空自衛隊基地の地元住民。沖縄の現状を知るほどに不安を募らせ、「基地はどこにもいらない」と、今後の連携を誓った。復帰の日が三十四回めぐっても、基地は居座ったまま。県民は、再編をきっかけに全国で関心が高まることに、期待を寄せた。

 福岡県みやこ町の労組役員菊谷紳一朗さん(46)の地元はF15戦闘機の訓練移転先、築城基地の近くだ。自宅の窓は防音サッシ付き。「空自のF15だけでも耐え難いのに、傍若無人な米軍機まで加わったら、いつもおびえて暮らすことになる」と、移転への拒否感は強い。

 集会で「沖縄だけでなく、全体で米軍追従の状況を変えなければならない」との地元の訴えに、思わず拍手した。「『自分たちは嫌だから沖縄は我慢して』とは言えない。連帯して訓練を日本から押し出す」

 千葉県の会社員橋本賢治さん(41)は、郷里の茨城県鹿嶋市に近い百里基地への訓練移転を「断じて許せない」という。額賀福志郎防衛庁長官は、同基地を含む茨城二区の選出だ。「『大臣のおひざ元だから引き受けろ』と言われて『ハイ』と言えるものか。地域の声を聞かない政治家たちの横暴は、必ず破綻するだろう」と指摘した。

 「新田原基地がありながら、宮崎県民は基地問題に関心が低い。沖縄の平和運動に参加して、危機感を感じた」と険しい表情を浮かべたのは、宮崎市の労金職員、田中真奈美さん(25)。青森市の佐々木政志さん(43)は、三沢基地への移転に「トラブルの多いF15が六ケ所村の核燃料再処理施設に墜落すれば、チェルノブイリの二の舞いだ」と懸念する。

 空中給油機の訓練移転先に決まった鹿児島県鹿屋市。市長が反対姿勢を貫く中、経済界の一部からは「沖縄だけに痛みを押し付けるわけにはいかない」と、国の論法に沿った容認論も出る。

 「鹿屋に米軍はいらない鹿児島県民の会」事務局長の山崎博さん(56)は、「本音は利益確保なのに、きれいな理屈を言い始めている」と憤る。一方、同市出身の教員(50)は「沖縄の人には申し訳ないが、これ以上被害を広げないでほしい」と、複雑な表情を見せた。

|

« 銃後の母の日 | トップページ | 息子が入院(>_<) »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

 別に諸外国の人々との友好関係を大切にすれば問題はないと思いますよ。全方位外交という奴ですね。困ったことには小泉政権はアメリカとの友好関係さえ強固で知れば字亜諸国との関係はどうでも良いという考え方です。ですから尚のこと私は小泉政権打倒を主張します。
 別に理系だ文系だと区別する必用はないと思いますよ。理系であれ幅広い視野を持つ方は左翼的な主張をされていますし、近視眼的な狭い視野しか持っていない学者は文系であっても差別排外主義に囚われていますから。

投稿: アッテンボロー | 2006年5月23日 (火) 22時32分

日本は海洋国家ですから、シーレーンの防衛は必要です。兵糧攻めに弱い国、弱いシステムを持つ国であるということの認識が必要ですね。

日本の製造業におけるGDP比の海外依存の割合は10%台ですが、それがストップした場合どれだけの連鎖的な崩壊が起きるかは想像に難くありません。

城内平和で十分ですよ。外人相手するのがどれだけ大変か。文化とか考えとか宗教とか。巻き舌の英語でまくしたてられて最悪でしたよ。

アッテンボローさんはなんらかの利害が絡む状態での、外人との対処がどれだけ凄まじいかご存知ないように思います。

第一線の商社マンやエンジニアたちにはとことん同情します。というか自分もそうなるのかorz。

投稿: くるる | 2006年5月23日 (火) 21時01分

 くるるさんが言う「平和」は城内平和のことでしょうね。特に製造業の場合、看板システムが機能するのはストライキを根絶したトヨタを始めとする民間大企業だからこそです。阪神淡路大震災の時日本各地の工場がストップしましたが、在庫を持たない事の弊害ですね。ですから私としては日本が戦場にならない侵略戦争である限り特に問題はない国家構造だと思っています。
 アメリカとの関係で言えば、確かに帝国主義同士の対抗の論理がありますから日本の敗戦帝国主義としての脆弱性を突くことでアメリカは政治・経済の問題を軍事で解決しようとしています。しかし、2月7日の過去記事「帝国主義間争闘戦」http://rounin40.cocolog-nifty.com/attenborow/2006/02/post_fca9.htmlを参照していただければ有り難いです。
 軍事の問題で「国防」と言われましたが過去にも何度かチョコチョコっと断片的に書いたのですが、常備軍というのは階級支配と外征のために存在する物だと捉えています。レーニンが「国家と革命」の中で常備軍を武装した人民と置き換えることを述べています。つまり誰か人に押し付けるのではなくて自分自身が武器を取って侵略に抵抗するという物が共産主義者の考え方ですね。当然その武装は支配者に対して向けられることもあります。そうすることで共産主義者は権力の腐敗を人民自身が監視し、実力で打倒できる体制を担保しようとしています。
 旧ソ連東欧・中国・朝鮮などのスターリン主義は人民の総武装を解除して常備軍によって体制を守っています。この点で既にマルクス・エンゲルス・レーニンが唱えた共産主義とは異質な物になっています。

投稿: アッテンボロー | 2006年5月20日 (土) 11時05分

ちょっとタイムリーにも沖縄に出かけてましたよw
飛行場の音聞いたけど、あれは迷惑ですよ。
アレが夜中にも鳴り響くとは……

ちなみにガイドさんの言っていることによると、沖縄に来た人の見たいものNo3が米軍基地だとか。


左翼の人々は良く「自衛隊を解体しろ!」「在日米軍を排除しろ!」といいますけど、あまりにも無茶苦茶すぎません?

もしもこの二つを実行するならば、日本の国防は成り立たなくなりますよ。
アッテンボロー氏はこれについてどのような意見を持っているのでしょうか?

投稿: 久々 | 2006年5月18日 (木) 17時26分

アジア侵略なんてやれるような国力やシステムなんて持ってないですよ我が祖国は。

アッテンボローさんは今の日本の科学技術や製造業の現状と言うのをまったくご存知ない。

これらは日本が平和である。つまりインフラの供給や人の移動が安定しているという大前提が崩れるとすべて崩壊してしまようなシステムの上に成り立っているわけです。

日本経済も東証が物理的損傷を受けると、日本経済の心臓が止まってしまうというシステムの上に成り立っているわけです。

そういったシステムや安定といったことを自力で確保できない時点で、アメ公に舐められて無茶苦茶押し付けられるわけで、そこが悔しいといっているわけです。

投稿: くるる | 2006年5月18日 (木) 13時09分

 確かに敗戦帝国主義としての制約はありますが、日帝国家権力自身が米帝と同盟してアジア侵略に乗り出すために沖縄を始めとする基地被害を無視し、押し付けようとしているというのが中核派の見方です。くるるさんの考えですと、注意しないと反米愛国主義によって対米戦争に動員される論理になってしまいます。

投稿: アッテンボロー | 2006年5月17日 (水) 17時38分

戦争に負けた。敗戦国のみじめさというものを若者でも感じる内容でしたね。

核を持たない。自国防衛のための国防軍を持たない。国防組織は交戦規定も集団的自衛権を持たない。

我が祖国がそうであるならこうなってもしかたがないと思います。

恨むべきはこういう状況に追い込んだ日本政府、そして敗戦国から脱却する変革のチャンスを逃がしつづけた日本国民自身と言うことでしょう。

投稿: くるる | 2006年5月16日 (火) 13時07分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/111250/10085697

この記事へのトラックバック一覧です: 復帰34年目の5・15:

» 緊急連絡、videonews.comで「誰のための共謀罪か(再放送):海渡雄一氏(弁護士)」が無料放送になってます。 [雑談日記(徒然なるままに、。)]
誰のための共謀罪か(再放送)【5月18日付けエントリーです】 (略) 郵政国会な [続きを読む]

受信: 2006年5月19日 (金) 19時04分

« 銃後の母の日 | トップページ | 息子が入院(>_<) »