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2006年8月24日 (木)

幻のハワイ日本連合

 昨日は珍しく自分の意志でテレビ番組を見た。普段なら殆ど見ることはなく、食事の時に視野にはいるくらいで見ると言うより眺めていると言った方がよいだろう。たまたま内科に受診に行った際に待合室でNHKのコマーシャルが目に入った。昨夜放送の「その時歴史が動いた」でハワイ国王カラカウアが日本を盟主とするアジア太平洋連合を形成することで欧米列強の侵略と闘おうとした話だという。先日来何度かコメント欄に日本が帝国主義としてアジア侵略の道を選んだのは必然であったのかどうか、別の道はなかったのかどうかと言う討論があったため興味が湧いた。私としては国内外の階級闘争の攻防の結果、人民の側が敗北したことによって侵略の道を選んだと思っている。

 メモを取りながら見ていたわけではないので年代などの記憶は不確かであるが、今から130年ほど前、番組では明治14年と言っていたと思うのだが、ハワイ国王カラカウアが日本を始めアジア諸国を歴訪する。目的は当時アメリカによる経済侵略に始まり、国土の大半を買収され、政界にもアメリカ人資本家たちが進出し、やがてアメリカの太平洋戦略によって軍事的にも征服されようとしていたハワイの独立を守るために、当時同様に欧米の侵略を受けていたアジア諸国で連合を組んでそれらに対抗しようという物であった。カラカウアの歴訪にはアメリカ人の随行員が付いており常時監視されていたのだが、ある日彼らの目を盗んで明治天皇ムツヒトと単独会見した彼は連合構想を打ち明け、ハワイの王位継承者である姪と皇族との政略結婚も提案した。あまりに希有壮大な構想であったためにムツヒトは即答を避けて後日返答することにした。不平等条約撤廃を重要な政治課題に掲げていた当時の日本政府は、欧米と協調するのかそれに対して連合を組んで対抗するのかで色々と悩んだようである。結果として日本は欧米列強の機嫌を損ねることを恐れてカラカウアの申し出を拒絶する。その後ハワイはアメリカの謀略的手法によって50番目の州として併合され、アジア太平洋侵略の拠点となっていく。日本はアジアよりも欧米の動向を気にしながら、それと衝突することを避けて寧ろ一緒になってアジア諸国を侵略する側になっていった。

 もちろん単純にこの一件だけが日本が帝国主義としての道を選んだ岐路だ等と言うつもりはない。だがしかし多くの歴史的事件の節目節目における日本の支配階級の選択が、朝鮮侵略・併合に始まり日中十五年戦争への道を突き進んでいく物となった。当時の日本においては不平等条約の撤廃を求める運動は政府のみでなく国民の多くの層が支持をしていた。その中に、もしパリコミューンに影響を受けた人々が存在しており、党としての運動体を形成していればどうであったのだろうか? 歴史にもしもは無いのであるが、当時既にインターナショナルが存在しており、それが日本にも波及していれば、或いは国際連帯の思想がハワイ日本連合形成に繋がる運動となったかも知れない。

 この番組の中で興味深かった点として、アメリカ人資本家によるサトウキビ農場の発展がハワイ経済をも発展させ豊かにはしているのだが、豊かになれば成る程ハワイは経済的・政治的にアメリカに従属していく過程があった。当時既に帝国主義として形成されていたアメリカによる植民地支配の一例としてのみでなく、日本が朝鮮・台湾などを植民地として様々なインフラ整備を行い、経済的基盤を築き上げた事とも共通点が有るように思う。カラカウア自身が当初はハワイのために良かれと思ってアメリカ人資本家の勧めに応じて締結した通商条約がハワイを蝕んでいく。朝鮮などにおいても日本と手を組むことを主張した人々が存在したが、彼らの思いが例え朝鮮にとって良かれという物であったとしても、結果として亡国に繋がったことと重なって見えた。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

明治14年の1880年のことですから、時期が悪いです。日清戦争前、非常に日本が弱弱しい段階です。でもこの時ですら、日本はハワイに軍艦を送りアメリカをけん制しています。これで精一杯でしょう。むしろよくやった方だと思います。

このころビルマでも英国が攻め入って、戦争以外で相当数のビルマ人が虐殺されています。当時の日本人や日本政府の心細さを考えると、いたたまれません。

これが1905年以降に起きたなら、日本の太平洋における連合艦隊の実力は大英帝国海軍の次、アメリカ太平洋艦隊より上という実力ですから、なにがしの行動は取れ、人種間の対決という姿勢を示せたと思いますね。確かに歴史にIFはありませんが・・・。

投稿: くるる | 2006年8月25日 (金) 12時26分

ありがとー

というよりも
朝鮮は常に事大主義。
親露、親清、親日、そして独立。

このうち前者二つは日清、日露戦争によって撃沈。
二つが残る。
しかし、露への密使、ハーグ密偵事件、伊藤博文暗殺などと言うバカなことをやったせいで、日韓併合が回避不能になった。
けど、他の証言を見ると

朝鮮の外交顧問であったアメリカ人 ドーハム・スティーブンス
『朝鮮の王室と政府は、腐敗堕落しきっており、頑迷な朋党は、人民の財宝を略奪している。そのうえ、人民はあまりにも愚昧である。これでは国家独立の資格はなく、進んだ文明と経済力を持つ日本に統治させなければ、ロシアの植民地にされるであろう。伊藤統監の施策は、朝鮮人にとって有益で、人々は反対していない。』

アメリカの鏡・日本ー ヘレ ン・ミアーズ
事実、列強の帝国建設はほとんどの場合、日 本の韓国併合ほど「合法的」手段を踏んでいなかった。


そもそも日本ではハワイのリリウオカラニ女王見たいに、朝鮮皇室の人間を一般市民に格下げなんてことしてないんだけどね。

投稿: 久々@クリック募金お願いします | 2006年8月25日 (金) 01時37分

 GOさん今晩は。実際戦前の右翼の中にはアジア諸国の独立運動などを支援・連帯する動きがありましたね。残念なことはそれの対局に共産主義者を始めとする国際主義が築かれなかった事によって、右翼のアジア主義は「大東亜共栄圏」などの侵略イデオロギーに取り込まれて変質していったと思うのです。福沢諭吉の「脱亜論」なども当初は日本・朝鮮・中国は半文明の国として、欧米の文明国に対抗するために協力することを唱えていたのが日本だけ文明国に成れそうだとなると傲慢にも甲申事変を計画してクーデターで朝鮮を覆そうとしていますからね。
 久々さん、抗日義兵闘争について炊いていますので「日本併合ありがとー」ではないですよ。「靖国問題を巡って」に付けた私の返事も読んでくださいね。

投稿: アッテンボロー | 2006年8月25日 (金) 00時23分

ハワイの場合
占領の際に抗議殺到


朝鮮の場合
日本併合ありがとー

投稿: 久々@クリック募金お願いします | 2006年8月25日 (金) 00時11分

番組は、私も見ました。
やはり「支配者」だけで「合従連衡」というのは難しいのでしょうね。バックに民衆がついていなければ…。
さて、このブログで様々な議論がある「日本はアジアの解放者か否か」という思想、思考についてですが、戦前の「右翼」運動の中に、「アジアの連帯による欧米への抵抗」というある種のインターナショナリズムがあったからだと思います。
孫文が日本の「右翼」の支援を受けていたことや、もっと下ってインドのボースの話が出てくるのも、そんな複線がある。私たちはそういった事実の存在は認めるけれど、やはり「プロレタリアートの解放」とそれに連なる「抑圧民族の解放」というスタンスを取り続けたいと思います。

投稿: GO | 2006年8月24日 (木) 23時53分

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» NHKの再放送は最高そう--8/31 [Under the Sun -MEDIA-]
19:10~20:55(105分)BS1 BS特集「日本と戦った日系人~GHQ通訳・苦悩の歳月~」 翌日午前1:10~翌日午前1:55(45分)総合/デジタル総合 その時 歴史が動いた「幻のハワイ日本連合~カラカウア王・祖国防衛に賭けた生涯」  これは個人的に非常に興味があります。ただこの番組がどの程度の取り組みをするかはまだよくわかりません。  明治時代、基本的にはアメリカに侵略されそうになったハワイが、日本に助けを求めたが、日本もまだアメリカに対抗するほどではなかったので、救い... [続きを読む]

受信: 2006年8月27日 (日) 21時29分

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