« 織田裕二とペ・ヨンジュン | トップページ | 来たれ!酒井不当配転裁判の勝利をめざす3・24京都講演集会へ »

2007年2月21日 (水)

規制緩和という悪夢

 昨日の記事に「外見が良く見える男はホモだー」と言う書き込みがあったので、ついつい高校時代の出来事を三つ思い出してしまった。一つは一年生の時、電車通学をしていたのだが、部活だったか塾だったかで帰りが遅くなったときのこと、電車の中で突然男にナンパされたことがある。「お茶でも飲みませんか」と言われて慌てて断ったのだが、電車を降りてからもその男が付いてくる。怖くなって駆け出したら、相手も追ってくる。公園の茂みに隠れてやり過ごしたが、怖かった。二つめは高二の文化祭の時に後夜祭の企画でおかま美人コンテストというのを行った。参加者の人数あわせのために私も参加して裏声で一曲歌うハメになった。実家の押し入れを探せばその時の写真が残っているはずである。友人には結構受けていた。三つ目はその時のことが影響しているのかどうか分からないが、失恋がきっかけで、近くに女性がいるだけで吐き気がすることが一時あった。生徒会の役員でたまたまコンビを組んでいた一年生の男子と私とが出来ているという噂がまことしやかに流されたことがある。今で言うボーイズラブで、私が攻めであったらしい。

 実は先日高校時代からの友人と数年ぶりにあって酒を飲んだのであるが、その時に95年に日経連労働問題研究会が出した報告書の話題になった。件の労問研報告というのは当時の日経連が毎年年頭に発表している経営者側の春闘方針なのであるが、当時はまだ色濃く残っていた終身雇用制・労使協調路線・企業内組合という日本経済の体制内的発展のために有効に働いた制度を叩きつぶして、雇用形態を抜本的に変更することが謳われていた。雇用形態を大きく三つに分類し、企業の経営に参画するような幹部候補生のみを終身雇用とし、残る二つは数年単位で契約を更新する研究職や現場の管理職などと、パート・バイトなど今日で言うフリーターなどの短期雇用の使い捨て労働者とにするという物であった。当時の労組はあまり重要視していなかったように記憶しているのだが、中核派は労問研報告を実際に読み合わせして職場の運動の中に対抗軸を作ろうとした。

 当時出版された本で、残念ながら読むことがなかったのだが「規制緩和という悪夢」と言う本が出ている。95年に文藝春秋社から出版された内橋克人とグループ2001による物である。読んだ人の話では当時にしては珍しく労問研報告の問題性について論じ、当時の政財界で声高に言われていた「規制緩和」を批判する物であったらしい。基本的に当時の政財界の主張は、労基法を始めとして、企業に制約をはめることで雇用の確保や各種食品や建築基準などの安全性を確保する法制度を時代遅れであり、規制を緩和することでバブル崩壊後の日本経済再生を目指すという物であった。実際今日、建築基準法が改悪されることで耐震偽装問題などが発生し、派遣対象業種の拡大で多くの職場で正規雇用に替わって派遣を始めとする非正規雇用労働者が多数を占めるようになっている。

 今日の毎日新聞朝刊には、00年の規制緩和によって新規参入が容易になったバス会社で、労基法違反による行政指導を受けた会社が00年の20社から05年には四倍の85社あると報じられている。今月18日に大阪吹田市で死傷者27名を出した事故においても運転手の過労による居眠り運転が原因との見方が強まっているという。05年の調査は対象が118社であるからその比率はすこぶる高い。同様のことがタクシー会社でも起こっている。規制緩和によって台数が増えたために、タクシーの運転手は今までより長時間働いても年収が100万以上減っているという。金融関係で言えば投資信託と保険商品の販売が銀行にも認められたために、証券会社や保険会社の営業が圧迫を受けている。郵便で言えばメール便の合法化によって都市部の儲かる地域では郵便差し出しが減っている。社会保険や公的年金の給付率低減のあおりで、民間生保の第三分野を扱うカタカナ生保・ひらがな生保が急激にシェアを拡大した。

 労働者の雇用について言えば安部政権が言う「再チャレンジ」の内実である雇用の流動化が、十数年前から財界主導で着々と実現されてきたわけである。対する労働側は政財界のデマとペテンに取り込まれて無対応であったように思う。寧ろ連合・全労連の殆どの組合が、95年労問研報告を軽視してきた結果として今日の格差社会が生じているのではないかと思う。少なくとも私の経験では、全逓本部は労問研報告を取り上げることすらなかったし、連合の機関紙でも触れられたことはなかったように思う。今こそ資本・企業に対する規制を強化しなければ労働者の生活は本当にズタズタに破壊されてしまう。労働組合と労働運動が本当に労働者の立場に立ちきって闘うことが今求められているのではないだろうか。その観点から「規制緩和という悪夢」を読んでみようと思い、先ほど注文を出した。

 以下毎日新聞 2007年2月21日 東京朝刊より引用

バス業界:労基法違反、行政指導4倍に 規制緩和後に急増

 厚生労働省の立ち入り調査で、労働基準法などに違反するとして05年に行政指導を受けたバス会社が全国で85社に上ることが分かった。規制緩和により新規参入が可能になった00年に比べて、4倍以上に増えた。大阪府吹田市で今月18日に発生した観光バス事故では、運転手の過労による居眠りが原因との見方が強まっているが、業界の競争激化による労働環境の悪化が背景にありそうだ。
 同省は毎年、内部告発や違反歴などを参考に、各地の労働基準監督署を通じてバス会社に立ち入り調査を実施。05年は調査した118社のうち85社が、労働基準法や労働安全衛生法などに違反していた。道路運送法改正で新規参入業者が増え始めた00年には20社、01年は25社、02年28社、03年72社、04年59社がそれぞれ行政指導を受けた。
 05年の主な違反内容は、労働時間(週40時間など)に関するものが56社、割増賃金関連が31社、休日関連が8社だった。【鵜塚健】

 宜しければクリックして下さい。 人気ブログランキング

|

« 織田裕二とペ・ヨンジュン | トップページ | 来たれ!酒井不当配転裁判の勝利をめざす3・24京都講演集会へ »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

>当時出版された本で、残念ながら読むことがなかったのだが

内橋克人さんの「規制緩和という悪夢」は文春文庫に入っているので、まだ入手可能だと思いますよ。

投稿: まこと | 2007年2月24日 (土) 06時44分

95年前後はあの大不況の第一段階だったか、リストラが加速して窓際人員や部署が次々となくなった時期だな。民間だとこれくらいの対策たてないといけない時期だったな。
あの時期は組合室でビラ作っていたら会社無くなったことに気付かなかったとかいう、笑えない冗談があった時期だろ。

先見の明で労組は全く機能していなかったということだ。むしろ不思議なことに労組に近い人間ほどこの問題には無為無策だった。気付いていても最後まで有効な対策は皆無だった。
それでそのツケが大量に来ているということだ。経営側が悪いだけじゃない。労働側の代表を自称した人間に有効な対策をもてる人間がいなかっただけだ。それだけ努力を怠ったツケだ。むしろ一般労働者ほどそこらをわかっていたと思う。それが労組離れや今の俺が困難に直面している課題の山積みになっているんだよな。

ペテンやデマじゃない。単に気付く能力が無かっただけなんだよ。労組関係者に。

12年も対策が遅れているなら労組側の対策はもう無理だ。規制緩和の塊である製造業(土建は除く)のスタイルがどの業界でもいけるわけがないからな、業界ごとの労組がプロ化して実力つけて労働条件守るしか手は無い。プロ化とは何か。そこを考えるべきだ。

投稿: K | 2007年2月23日 (金) 13時01分

男性から人気のある男性は、仕事の上で損得を超えた支援を受ける事が出来るので大成するって聞く。アッテンボローさんはそんな器量を備えた人物なんだ。

規制緩和を唱えたのはアメリカと手を組んだ当時の政治家だね。国内の大企業や銀行を外国資本に売り渡し、そのバックマージンで巨万の富を得た自民党の政治家と、一部の財閥だ。国内の主要産業が海外から流入する安価な製品により打撃を被っている時でも銀行を中心とした財閥は企業を外国に売った金でますます肥え太ったという訳だ。

投稿: wamg★ezweb | 2007年2月23日 (金) 12時19分

「規制緩和という悪夢」については、たしか「コミューン」で紹介されていました。で、私は第4刷を購入したものです。アメリカの労働者が80年代のレーガン規制緩和によって、職を失い、保険にも入れず医者にも行けない。ローカル交通がバンバン切り捨てられるという現状が生々しく描かれております。
 バス・タクシー・長距離トラックの運転手の労働実態は相当ひどいものになっていますね。今回の事故も、「規制緩和」の犠牲であると考えてよいでしょう。
 95年労問研報告では、労働者を
 A…企画・立案をする総合職(正社員)
 B…専門的知識・技能で働く専門職(正社員もしくは   非正規雇用)
 C…A・B以外の労働者(非正規雇用)
とカテゴライズし、B、C層はほぼ使い捨てにするようなもの…という具合に理解しております。昨年の「教育基本法改悪」も、この政策に沿った労働力を作り出していくための「格差教育」を推し進めるものとしてとらえております。

投稿: GO | 2007年2月22日 (木) 20時44分

 「規制緩和」というと、11、12年前に受験した、ある国家資格試験のことを思い出します。その試験では、マークシート試験の他に、論文試験があって、その時の出題テーマが「規制緩和について思うところを述べよ」というようなものでした。その時、僕は、社会人になってまだ間もないころで、政府を疑うことを放棄していた(避けていた、逃げていた)時分で、概ね「規制緩和万歳、推進賛成」という趣旨の内容の文章を書きました。今から思えば「規制緩和で物価が安くなり、消費者としては歓迎すべき」という、一方的な見方しかしていませんでした。市民の生活を無駄に縛り付けているような規制は取っ払うべきだとは思いますが、規制のあり方を慎重に検討すれば、必ずしも「緩和」すべき事項だけではなく、逆に「強化」すべき事項も出てくるはずですよね。「規制のあり方を検討する」ではなくて、「規制は緩和すべきもの」というテーマ立てで、話が進んだことが、そもそも、オカシナことだった、と認識しています。
 タクシーの問題については、国土交通省自身が、失敗を明確に認めてはいないものの、供給過剰の結果、サービスや安全の質が返って低下したことについては認めるような報告書というか見解を出した、という報道記事を以前に、何かで読んだ記憶があります。うろ覚えですが。。。

投稿: HISA | 2007年2月22日 (木) 00時16分

規制緩和は言うまでもないですけど、さらに現金がなくても会社を買えるようになりましたからねぇ。

中小企業が主体の日本の事業は、大手会社、特に外国に買い叩かれていく危険性が非常に高い。
そうなってからじゃ遅いというのに……


やっぱ自衛隊で、誰かクーデターを起こして(ぉ

投稿: 久々 | 2007年2月21日 (水) 23時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/111250/14000485

この記事へのトラックバック一覧です: 規制緩和という悪夢:

» 虚妄の『日本版』ホワイトカラー・エグゼンプション [狸議長の寝入り]
2007年度の通常国会では提出見送り決定の日本版ホワイトカラー・エグゼンプション [続きを読む]

受信: 2007年2月21日 (水) 22時55分

» 「規制緩和」という劇薬を、副作用をまったく知らせずに、投与したのは誰だ! [晴耕雨読]
日本に「規制緩和」を持ち込んだのは、学者や経済界はとりあえず別にして、政治権力的には「戦後の総決算」を旗印に登場してきた中曽根康弘氏です。 「戦後の総決算」とは、社会主義的国家を新保守主義・自由主義国家に転換させる、“自国破壊”的な政策です。中曽根氏は、日本経済の破壊と乗っ取りを計るグループのインサイダーだと思っています。(新保守主義は、決して保守主義ではありません。どちらかといえば、寡占的自由主義や保守破壊主義という言葉がふさわしいものです) 「小泉改革」も「鳩山改革」も、その流れを汲むもので... [続きを読む]

受信: 2007年2月22日 (木) 00時15分

» 民にできることは民に?----建築より国家のデザインを語れ [A Tree at ease]
建築士が構造計算書を偽造し、震度5で倒壊の危険があるマンションが何棟も建てられている問題は、件の建築士がまたあまりに淡々と話す上に、全体像がまだ見えず、なんといっても我々自身の足下の問題でもあるので、テレビをにぎわしている。  今わかっていることで一つ問題があるとすれば、検査機関が民営化されていたということである。国鉄分割民営化のとき  JR西の事故の時にも思ったが、「利益優先主義」などと何が言いたいのかわからないような批判をする前に、そもそも国民の足である国鉄を分割民営化するのはどうか、過疎化... [続きを読む]

受信: 2007年2月22日 (木) 07時37分

» 奴隷労働 [tsurezure-diary]
いやなニュース。 大阪バス事故、運転手は連続徹夜「最近は毎日運転」(読売新聞) - goo ニュース 「大阪府吹田市で18日早朝、スキー客を乗せた「あずみ野観光バス」(長野県松川村)の大型バスがモノレールの橋脚に衝突し、27人が死傷した事故で、小池勇輝運転手(21)が、事故当日までの少なくとも2夜にわたり、1人で連続乗務していたことが府警交通捜査課と吹田署の調べでわかった。  いずれの乗務でも途中�... [続きを読む]

受信: 2007年2月22日 (木) 10時23分

» 郵政民営化についてあらためて・・・ [美しい季節とは誰にも言わせまい・・・・]
   USTR代表:郵政民営化でWTO提訴を示唆 【ワシントン木村旬】米通商代表部(USTR)のシュワブ代表は14日、下院歳入委員会で証言し、日本の郵政民営化で外資系金融機関などが競争上不利な立場に立たされるなら、世界貿易機関(WTO)への提訴も辞さない構えを示した。米政府高官が民営化問題でWTO提訴の可能性に言及したのは初めて。 同代表は「民営化後の会社が不当に有利にならなければ、民営化は問題がない」と指摘しつつ�... [続きを読む]

受信: 2007年2月22日 (木) 21時36分

» イシハラシに反抗・黒川紀章氏が都知事選に出馬表明・さてウラになにがある?(1) [晴天とら日和]
ワタシにしては珍しく。・・・ < 速報 > ★〓日テレ<2/22 1:19>←今なら画像アリ! 建築家・黒川紀章氏が都知事選に出馬表明 建築家・黒川紀章氏が、今年4月に行われる東京都知事選への立候補を表明した。 日本テレビの取材に対し、黒川氏は21日夜、現時点...... [続きを読む]

受信: 2007年2月22日 (木) 23時28分

» イシハラシに反抗・黒川紀章氏が都知事選に出馬表明・さてウラになにがある?(2)と(3) [晴天とら日和]
トピックス 2007.2.21 都知事選について 15の公約 1)・・石原都知事が立候補を辞退しない場合には、     都知事選に立候補する。 2)・・無所属(どの党からも、推薦されれば受ける)で出馬。 3)・・1期のみ 4)・・無給、官舎(公館)公用車は使用....... [続きを読む]

受信: 2007年2月22日 (木) 23時54分

» ≪異形の帝国「クリスタル」の実像≫ [不条理日記]
今月のことだが、 人材派遣会社クリスタルが「週刊東洋経済」の記事は名誉毀損であるとして巨額の損害賠償請求訴訟を起こしていたが、それを取り下げたというニュースがあった。 どんな記事だったのか興味があるので図書館でコピーしてきた。以下は「東洋経済」2003年2月8日..... [続きを読む]

受信: 2007年2月23日 (金) 01時10分

» 【「偽装請負」No!】キヤノン請負労働者の実態〜民主党と公明党にメールを! [ある国際人権派の雑食系ブログ。(仮)]
●「キヤノン請負労働者「生身の人間。正社員と同じ賃金を」」(朝日 07.02.22) >キヤノンの工場で請負で働く大野秀之さん(32)が22日午前、衆院予算委員会の公聴会に招かれ、非正規雇用の労働者の思いを語った。長年にわたる職場の「偽装請負」も指摘し、「厚生労働...... [続きを読む]

受信: 2007年2月23日 (金) 07時02分

» 【北九州市生活保護問題】北橋市長、門司餓死事件の調査を明言 [ブログ「旗旗」]
政治家の人はこういう事例にちゃんと怒ってほしい。これに怒れないのであれば政治家としての存在意義はゼロに等しいでしょう。さっさと政治家なんて名乗るのはやめて、最初から役人を目指すべきであると思います。本来なら我々の代表であるはずの政治家と、その代表を通�... [続きを読む]

受信: 2007年2月23日 (金) 12時48分

» 日弁連の意見書、キターー!!(対:外国人雇用状況報告制度) [多文化・多民族・多国籍社会で「人として」]
2007.2.23.19:10ころ 「入管一元管理で賤民をつくろうとする策謀に、 [続きを読む]

受信: 2007年2月23日 (金) 19時34分

» 「皇室は最後の抵抗勢力」:小泉前首相が重大発言! [嗚呼、負け犬の遠吠え日記(新館)]
 「皇室は最後の抵抗勢力」  なんと、あの小泉純一郎前首相がこのような発言をしたという。  これは明治天皇の血を引く旧皇族の作家・竹田恒泰氏が、2月5日の講演会で明らかにしたことである。  皇室敵視・否定ともとれ... [続きを読む]

受信: 2007年2月23日 (金) 20時12分

» 森田実さんの公聴会の言葉、そして日本会議に集う議員たち [とむ丸の夢]
昨日22日の衆議院予算委員会公聴会での森田実さんの言葉はもう聞かれましたか? 平成19年度の予算書を読んだ感想を森田さんは、孟子の「民を尊しとなし、社稷(しゃしょく:国家のこと)これに次ぐ」というひと言で表していました。... [続きを読む]

受信: 2007年2月23日 (金) 21時41分

« 織田裕二とペ・ヨンジュン | トップページ | 来たれ!酒井不当配転裁判の勝利をめざす3・24京都講演集会へ »