« 春闘妥結相場 | トップページ | 尼崎局公平審当局側証人を圧倒 »

2008年3月11日 (火)

死ぬな!辞めるな!闘おう!通信 08年03月11日

発行■人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会

     JP労組2008年春季生活闘争方針批判
      これからの郵政労働運動と関トラ分会闘争勝利の意義

〈1、御用組合こそ格差拡大の一大元凶である〉

  JPUと全郵政が統合したJP労組の初の中央委員会が1月29日と30日に東京で開催されたが、その主要な議題は「2008年春季生活闘争の取り組み」であった。
 
  議案書は言う。日本経済は五年連続の2%の成長の見込みで、企業の経常利益は大企業を中心に6年連続の増益になるだろう。しかし、その景気回復が、労働者の生活には反映されず、労働分配率は5年連続マイナスなのに、役員報酬は対前年比で21%も増加している。この格差是正の為に、連合の方針の下、JP労組は闘うが、特に郵政では2003年の大幅な賃下げおよび1998年からの一時金の引き下げにより、他の企業に比べ賃金水準が低くなっており、人材確保にも悪影響を及ぼしている。したがって「事業の発展に不可欠な優秀な人材を確保するためにも、今次春季生活闘争は、賃金水準の改善に全力で取り組む」と(情けないお願いの言葉だ!)。

 しかし、この議案書における情勢分析自体が、JP労組の掲げる「生産性運動の積極展開」の破綻を示しているのである。この生産性運動が唱える「パイの理論」によれば、企業が繁栄すれば、すなわち全体の取り分であるパイが大きくなれば、自ずと労働者の取り分も大きくなるはずだったのだが、ここ数年の経験は、企業が利益を増やしても、それだけでは、必ずしも労働者の賃金は上がらないということである。それには様々な原因があるであろう。確かに非正規労働者の比率が上がっていることも大きな要因であり、その早急な改善が必要なことは言うまでもない。しかし、賃金が上がらない最大の原因は、労働組合が闘わなくなったということである。

 一昔前ならば、春闘ともなれば、工場前には赤旗が林立し、電車は止まり、学校の授業は度々自習になったものである。全逓労働者は、腕に腕章、胸には闘争ワッペンを着けて仕事をしたものである。こういう闘いがあったからこそ、高度経済成長期には、有利な状況を大幅な賃上げへと転化できたのである。(もちろん、そのときにも、資本はその労働者の取り分の何十倍、何百倍もの利潤を上げ、相対的な賃労働と資本の格差は寧ろ拡がり、労働分配率下がったことを忘れることは出来ないのだが)。

  この闘わなくなった組合の典型的な例が、誰あろう全逓であり、今のJP労組である。特に、郵政公社は、2006年3月の決算では、「トヨタ以上」すなわち日本一の純利益、約一兆9千億円を計上したのに、我々郵政労働者の給与水準は一向に向上しなかったのである。したがって、全逓の右傾化、JPUの下での労使協調、JP労組の誕生と生産性向上運動の推進こそが、郵政における低賃金の大きな原因なのである。何せ、今回の賃上げ要求が6年ぶりの要求というのだから、如何に郵政当局にとって、都合のいい組合かが判ろうというものである。

〈2、賃上げ要求1500円の内実〉

 さて、この第1回JP労組中央委員会では、具体的要求として、以下の要求が決定された。基準内賃金一人当たり平均1500円の引き上げ、一時金の年間4・5ヶ月(現状は4・45ヶ月)、短時間職員および月給制契約社員の基本月額1000円の引き上げ、時給制契約社員の地域別基準額の20円引き上げ、時間外労働の割り増し要求として、「100分の30」、休日労働の割り増しを「100分の40」夜間割り増し「100分の30」をそれぞれ要求。この月額1500円の賃上げ要求を他の産業や労組と比較してみよう。電気各社では、2000円の賃上げを組合が要求、自動車部門では、トヨタが1500円、ホンダでは1000円(ただし、一時金要求は6・6ヶ月)、日産は定期昇給と賃金額の合計で前年より300円多い7000円を組合が要求。鉄鋼や造船などの労組で組織する基幹労連は2年間で月額3000円の引き上げを要求。これらの要求に対し、経営側は、昨年末に経団連が賃上げ容認を打ち出したのだが、「サブプライムローン問題の拡大や急激な円高、原油高で経済の先行きに不透明感が拡がり、慎重姿勢に転じた」(毎日新聞)とされ、昨年並みの1000円の引き上げで労使の調整が行なわれているという。経営側の集中回答日は3月12日。

  この春闘情勢を踏まえると、このJP労組の1500円ベア要求は「2008年春季生活闘争での連合他産別の平均要求額等を勘案すると妥当」(JP新聞第7号)のように見える。しかし、このJP新聞第7号での増田書記次長の議案提案では、郵政グループの賃金水準は民間より1325円低いとされているのであるから、たとえ、1500円引き上げの満額回答を引き出したとしても、現行の民間平均より僅か175円上回るに過ぎない。そして、先の春闘情勢分析どおり、平均1000円程度の賃上げで民間において決着がつくなら、825円程度の格差が依然残ることになる。一時金の現行4・45ヶ月から4・5ヶ月へ僅か0・5ヶ月の引き上げ要求はあまりにもささやかといわなければならない。確かに、0.5ヶ月の引き上げでも、1ヶ月の給与が30万円の労働者を例に取ると、15万円の賃上げになるのだから、1500円のベア要求(1500円×12ヶ月=15万3000円)とほぼ同じだけの賃上げになり、是非獲得して欲しい要求ではある。しかし、年度末手当が廃止されるまでは、5.5ヶ月程度は一時金として獲得できていたのだから、ここでの賃下げが大きく郵政労働者の家計を直撃しているのは明らか。ホンダの6.6ヶ月(この要求は実現しそうといわれている)と比較すれば、郵政の4.5ヶ月とでは、2.1ヶ月、先の月給30万円の労働者の例で言えば、年間63万円もの開きがあることになる。ホンダ並みとは言わないまでも、少なくとも、年度末手当廃止以前の5.5ヶ月を要求すべきであろう。短時間職員と月給制契約社員の賃金引き上げ要求額が1000円と本務者の1500円より500円も安いのは全く理解しがたいことといわねばならない。短時間職員については、勤務時間が4時間と短いだけで、その他の労働条件は本務者と基本的に同じでなければならないのだから、当然その賃上げ要求も本務者と同じ1500円とすべきであろう。また、月給制契約社員については、もともと給与体系そのものが本務者と比べて格段に低く抑えられているのだから、もし本気でJP労組が正規労働者と非正規労働者の格差是正を考えるなら、その要求額は本務者の1500円を上回るもの、例えば2千円でなければならないであろう。それが、実現して始めて、郵政における正規労働者と非正規労働者の格差が少しは縮まるというものである。1500円と1000円の要求が共に実現したとして、それぞれの給与が改善されることは確かだが、格差という点では、更に500円分格差が拡大することになるのである。

〈3、「お笑い春闘集会」で要求は勝ち取れるのか?〉

 3月3日付けのJP労組新聞第9号で、「民間労組として初めての春季生活闘争を取り組むに当たって、組合員の理解、浸透が重要となる。『連協別春季生活闘争決起集会』が3月1日~16日の間に開催されることから、中央本部は、組合員周知用の『リーフレット』と学習用の『早分かりBOOK』を作成して、各支部にすでに郵送してある。決起集会への参加とあわせて、組合員の意思結集の場として、職場集会や学習会の開催を改めて要請したい」と書かれている。これだけ見ると、要求実現に向けて、JP労組中央も本気のように見える。しかし、この「連協別春季生活闘争決起集会」の実態を知るなら、そういう印象は忽ち消え去るであろう。例えば、近畿におけるこの「連協別春季生活闘争決起集会」は3月2日に開催されたのであるが、なんとその開催場所は「なんばグランド花月」だというのである。なんばグランド花月といえば、言わずと知れた、吉本新喜劇のメイン劇場である。春闘集会を開催する場所としては、これほど似つかわしくない場所も無いと思われる。だが、実際、集会プログラムには、「1、春季生活闘争 2、新喜劇、漫才観賞」とある。新喜劇や漫才を見て、大いに笑って、苦しい現実を一時でも忘れよというのであろうか。確実に言えることは、こんな集会では、組合員の春闘を闘う意気が上がるとは到底思われないということである。実は、この時期に全郵政近畿が例年、純然たるレクレーションとして、吉本新喜劇や漫才の観賞に組合員を無料で招待していたのだが、ちょうどそのレクレーションが今回は春季生活闘争決起集会に鞍替えしただけというのがこの集会の実相なのである。したがって、どちらかと言うと、新喜劇観賞の方がこの集会のメインなのである。長い日本の労働運動史上でも吉本新規劇を観賞しながらの春闘集会というのはそう無いであろう、おそらく初めてなのではないだろうか。正に日本労働運動史上の笑い話であり、これで要求実現しようというのだから、笑い種である。しかし、笑い話ですまないのが、日曜の夕方以降、「なんばグランド花月」を借り切るというのだから、莫大な費用がかかっていることと、その動員方法である。集会の規模は1000人で、JPUから500人、全郵政から500人なのだが、支部によっては動員が全く要請されない支部もあるようなのである。そういう点では、あらかじめこういう集会に文句を言うような組合員や支部を最初から排除し、完全に管理された春闘集会という点では、このなんばグランド花月での春闘集会開催は見た目以上に深刻な意味を持っているだろう。ところが、このような春闘集会とはとても言えないような集会でも開催するだけでもましなほうで、他の連協に至っては開催するのかどうかもわからないところが多いという。リーフレットや「学習BOOK」も見たことが無く、それによって学習会や職場決起集会が開催されたことも聞いたことが無い。したがって、先に引用したJP労組新聞の中央本部の支持と現場の実態はあまりにもかけ離れているといわざるを得ない。
 
  〈4、強まる左派活動家や左派支部への排除と弾圧

 しかし、ここで注意すべきは、支部や分会、そして現場の労働者に全く春闘を闘う気が無くなったとか、学習会や決起集会を開催する意欲が無くなったというわけではないということである。確かに、職場の労働条件は悪化する一方で、支部や分会で学習会や決起集会を企画してもなかなか人が集まらないという現実はある。しかし、そういう厳しい状況の中でも何とか闘いの火を消すなということで、春闘集会がいくつかの支部やブロック協議会で例年開催されてきたのである。ところが、兵庫の東播支部での「沖縄平和学習」への中止要請を皮切りに今では、支部や分会での学習会や決起集会は全て地本へ届けて許可を得なければ開催できなくなっているのである。したがって、これまで各地で行なわれていたような春闘集会すなわち、JP労組の方針と違うような、したがって正当な内容を持つ学習会や決起集会は認めなれなくなっているのである。そもそも、近畿地本の役員任命からして選挙を経ない上からの一方的な押し付けであり、左派の役員は完全に地本から一掃されたのである。特に兵庫の場合、JPUとしての最後の大会代議員選挙であった第64回臨時全国大会代議員選挙で落選したF氏とK氏が厚顔無恥にも地本役員におさまって、左派に対する排除、弾圧の先頭に立っているのである。そして、その矛先は、遂に加古川分会に及ぼうとしている。2月の地本執行委員会で、加古川分会の機関誌『躍動』について、その発行者が「全逓加古川分会」になっていることを取り上げ、「全逓」という用語を使わないように指導するように東播支部執行部に要請しているのである。これから、支部再編が本格化してくるが、その中で、支部の人事をめぐって左派排除の攻撃がかけられてくるのは確実で、2008年はJP労組の中の左派勢力にとっても正念場の年にならざるを得ないであろう。

〈5、スタグフレーションの悪夢再び〉

 さて、議案の情勢分析の次の欠点は、昨年9月の数値を基にしている為、現状と全く合わなくなっていると言うことである。「原油価格の高騰やサブプライムローンをめぐる金融不安等の先行き不安が懸念されており、内外情勢の不透明感は否めません」と議案自らが触れているサブプライムをめぐる金融不安は、遂に今年1月21日にはアメリカ、イギリスやドイツだけでなく中国の株式市場までも巻き込んで世界同時株安として発展した。とりわけ日本の株式市場の低迷は際立っており、1月21日には日経平均株価は、13325円と2年3ヶ月ぶりの安値を記録し、一月に入ってから2千円、福田政権発足からは3千円も値を下げたのである。1月23日には遂に株価は1万3千円台を割り込んだが、2月に入ってからは若干回復傾向を見せていたが、3月3日には、終値610円安の1万9992円を記録し、再び1万3000円割れを記録したのである。この株安と共に円高も進行しており、3月3日には1ドル=102円と3年1ヶ月ぶりの円高水準となり、電気、自動車、鉄鋼等の輸出関連銘柄が大幅に下落し、先に書いたように日本の春闘相場にも暗い影を落としている。この株価暴落は実体経済にも影響を及ぼし、物価騰貴と合わさって、不況下の物価高すなわち「スタグフレーション」という最悪の状況も懸念されているのである。特に郵政の利益構造は極めて不安定で、実際、2007年3月の決算では、純利益を対前年比で半減させたのであるが、その原因が、郵貯や簡保が投資している株の値段が上がらなかったからというのである。株価が上がりもせず、下がりもせずに同じであったというだけで、利益を半減させたのであれば、この株の暴落によって大きく利益が減少するのは確実で、最悪、利益ゼロ乃至は赤字もあり得ない話ではないのである。

〈6、生存権をかけ、ストライキで闘おう!〉
 
 そういう状況では、JP労組の唱える生産性向上運動と「パイの理論」は全く無力である。パイが小さくなるから、労働者はその取り分の減少を受け入れざるを得ないということになるからである。しかし、本当にそうだろうか。世界同時株安といい、スタグフレーションといい、労働者には何の責任も無いのであって、資本家や金持ちの利益目当ての無政府的な行動に起因しているのであり、それらに対し労働者は自らの生活を守る権利を持っているのであって、そのためにはストライキも辞さないのである。もし、そうでなければ、労働者は路頭に迷ってしまうであろう。2008年春闘はまさに労働者の生存権をかけた闘いであり、そういうものとして位置付けなければならないのである。そのために、JP労組は、ストライキを打てる態勢作りに着手すべきであり、まず「ストライキの一票投票」を行なうべきである。JP労組組合員は本部にそれを要求していこう。

〈7、関トラ分会闘争勝利の意義

   以上述べてきたような状況にあって、関トラ分会の闘争勝利の意義はいくら強調しても強調しすぎることは無いであろう。どうしても記しておかなければならないのは、関トラ分会の闘争が我々「人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会」に与えた衝撃である。周知のように、我々「反対する会」は「人事交流=強制配転に反対する」という一点で結集した横断的な郵政労働者の会ではあるが、発足の時から、郵政内外におけるあらゆる労働者の闘いとの連帯も同時にその方針として打ち出し、実際にも各種公平審闘争の支援、4・28闘争との連帯、日逓労働者との連帯、全逓大会前での街宣行動や全国郵政職場交流集会への参加等数多くの共闘関係を築いてきた。そして、非正規労働者との関係で言えば、郵政における非常勤労働者の先駆的な闘いである京都における雇い止め闘争に関わるなど、非常勤労働者の闘いや労働条件にも多大の関心を寄せ、郵政における労働者については、正規、非正規を問わず、その置かれている状況や闘いについては知っているし、知ろうとしていると自負していたのである。ところが、関トラ分会の闘いが起こるや、請負業者の下で働く労働者の労働実態とどういう気持ちで彼らが働いているかについて、いかに知らなかったかを思い知らされたのである。それだけではない。雇用されている資本が違うということで、いつのまにか、「郵政に働く労働者」という範疇の中から、彼らを除外していて、その労働状態を知ろうともしていなかったのである。ところが、郵政以外では、既に、請負だけでなく、派遣労働者が大量に雇用されていて、1つの職場で、複数の資本に雇用される労働者が働いているという状態が普通になり、それぞれの雇用主への闘いを組織するだけでなく、彼ら労働者の連帯を如何に作り出すかが労働運動にとって愁眉の課題として浮上していたのである。そして、民営化と同時にいよいよ郵政でも派遣労働者が雇用されることになり、これからますます、違った資本に雇用されながら、同一の職場では働く労働者の連帯をどう勝ち取っていくかということ無しに、それぞれの資本と首尾よく闘うことも出来ない状況が強まってくることは確実なのである。
 
  現在日本各地で、いわゆるワーキングプアといわれる労働者の中から様々な闘いが起こっている。残念ながら、郵政では、まだ、第2、第3の関トラ闘争は起こっていないが、劣悪な労働条件は改善されないまま放置されているのだから、そういう労働運動の高揚の中で、何時そういう闘いが起こってもおかしくないのである。そして、郵政本体に働く労働者、したがって「反対する会」に問われているのは、そういう闘いが起こったときに、あの加古川分会の労働者が示したような関トラ分会のストライキに連帯する行動が取れるかどうかであろう。そういう点から、関トラ分会の勝利は、非正規労働者と正規労働者の連帯という労働運動が直面する困難ではあるが、最も愁眉の課題に対し、その一つの模範を示したという点でも特筆されるべきものである。 

Banner_02_1 宜しければクリックして下さい。 人気blogランキングへ

|

« 春闘妥結相場 | トップページ | 尼崎局公平審当局側証人を圧倒 »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/111250/40468241

この記事へのトラックバック一覧です: 死ぬな!辞めるな!闘おう!通信 08年03月11日:

» 推定有罪の裁判官は、罷免せよ [ジョディーは友達]
 痴漢裁判である。  痴漢被害者、痴漢狂言者、痴漢犯人、無実の犯人、目撃者、警察 [続きを読む]

受信: 2008年3月12日 (水) 13時36分

« 春闘妥結相場 | トップページ | 尼崎局公平審当局側証人を圧倒 »