33年ぶりのストライキ 郵政ユニオンが一時間の時限ストを貫徹
本日4月3日、午前8時から郵政ユニオンの全国10支部において、44名の組合員が一時間の時限ストを貫徹した。人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会はスト拠点である郵便事業会社吹田千里支店において支援行動に立ち、6名が参加した。吹田千里支店(兼郵便局)の前に反対する会と関西合同労組関西トランスポート分会の赤旗が掲げられた。
スト突入集会は7時50分から開始され、司会は郵政ユニオン近畿地本寺脇執行委員が努めた。主催者挨拶は近畿地本の下村副委員長が行い、郵便事業会社からスト中止の要請があったがその圧力を跳ね返してストに突入する決断をしたことを報告した。会社側の主張は「お客さんに迷惑がかかる」というものであったが、実際にサービス低下を招くリストラを行い、一万以上の定員不足の状態を作っているのは会社側であることを批判した。配達途中の会社で「人手が足らんのとちゃうか」と訪ねられたときに事情を説明しお客さんとの繋がりを作っているのは現場の労働者であると堂々と言い切った。続いて中央本部の松本執行委員が08春闘の経過を報告した。要求内容は、正社員と月給制契約社員35000円・短時間職員17500円の賃上げ・時給制契約社員とパートについては時給200円の引き上げであった。さらに非正規社員を正規社員にすること求めていた。それに対して会社がわは正社員600円・月給制契約社員400円・時給制社員に対してはゼロ回答であった。非正規社員の処遇改善についてもなんらまともな回答はなかったことを弾劾した。
続いて連帯のあいさつに移り、大阪全労協の石田議長・山下けいき茨木市議・吹田の元市議・大阪経済大学教授から発言があった。山下市議は、郵政ユニオンとは茨木の山間部の集配局が統廃合される際に一緒になって存続を求める運動を行い、市に対して要請行動も行ったことを報告した。民営化によって都市部で会ってすらサービスの切り捨てが行われていることを明らかにしたのである。大経大の教授は今ほど労働運動が求められている時代はないことを切々と語った。続いてシュプレヒコールを行い、暫時休憩を取った。
その後は各共闘の連帯のあいさつが続く。全日本建設運輸連帯労組関西生コン支部は本日もストで闘っており大阪中の生コン職場がストップしていることを報告した。教育合同の労働者は、橋下府政によって一年間の予算が認められず、本来ならば非常勤講師に対して一年の辞令が交付されるところが四ヶ月の発令であったことを弾劾し、橋下府政打倒に向けて闘う決意を明らかにした。国労熊本闘争団の蓑田さんは、先日26日から28日の間48時間のハンガーストライキを打ち抜いたことを勝利感を持って報告した。中央全労協の前田さんは、国営時代の郵政の労使交渉についての対応の悪さを引き合いに出し、民間企業となった以上労使対等として民間同様に誠意を持って交渉に臨むよう求めた。大阪西運輸労組の労働者は民間中小企業では経営者・管理職が自らの月給を削って現場の労働者に報いていることを明かし、郵政の管理職どもが二十数名も大挙動員されてストライキに対する弾圧体制を取っていることを批判した。
発言は郵政ユニオンの各支部に移り、河内長野支部の組合員が大阪の南部でも共に闘っている仲間がいることを報告した。城東支部の組合員は、郵政の時間給について発言した。殆どの非常勤は外務員が900円、内務は760円であり、査定が導入された数年前から殆どの非常勤労働者が上がっていない。その中で管理職に気に入られた極一部、約一割の人間だけが1400円の時給をえていると差別賃金を弾劾した。郵政ユニオンが掲げる時給1200円は全く当然の物であると言うことを説得力を持って述べた。東播支部の労働者は、病気によって降格処分と退職強要の攻撃を受けている松本さんの公平審闘争への支援を呼びかけ、同時に自分の職場も今度はストに入れる体制を作ると決意を述べた。
最後にストに突入した吹田千里支店の6人の組合員が決意を述べた。近畿支社からも泊まりがけでスト妨害にやってきているが、そんな無駄な金があるのなら非常勤の賃金を上げろ。吹田千里では2人の労働者が交通事故で亡くなっている。昼の休憩時間は12時15分からであるが、とてもその時間には帰ってくることが出来ない。郵便物の量が多すぎるのに対して要員配置がキチンとなされていない。バイクをはじめとする物品も不足している。人も物も足りない状況を何とかするのが管理職であるはずだ。ちゃんと仕事をしろと怒りをぶつけた。6人全員が郵政に対する怒りを口々に訴え、ストライキで闘ったことの意義を再確認した。決意表明の後6人は支援の拍手に送られて、スト解除後の業務に就くために局舎の中に消えていった。
今回のストライキで特に重要視されなければならないのは、非常勤職員の待遇改善を求めてストに突入した全ての組合員が正規社員であると言うことだ。今まで大労組は非常勤労働者を、正規社員へのリストラのいわば弾避けとして使ってきたのである。同じ職場で働く労働者全てが同一の待遇であるべきだとする要求は、本工主義を乗り越えて多くの労働者の共感を得ることに違いない。JP労組は組織こそ大きいが今春闘において会社側のほぼゼロ回答に近い回答を鵜呑みにして、正規社員の労働条件すら守る力がないことを露呈させている。今こそ本当の労働運動・労働組合を全ての職場に取り戻す闘いが重要である。
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へぇ~。ほぉ~。
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このニュースに接して、すっげ~、観たくなったゾ。
韓国で一般公開されたら(後になって気づいたが、実は先日、ソウル市内で開かれたインディー映画イベントでひっそりと先行上映されていた)、絶対にに観に行ってやるぅ~。
それでは聯... [続きを読む]
受信: 2008年4月 3日 (木) 20時52分
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「第二次大戦末期の沖縄における住民集団自決が、当時の軍の命令・関与によるものか否か」を巡って争われていた裁判(沖縄集団自決訴訟)で、3月28日に大阪地裁が軍の関与を認めた判決を下しました。この裁判は、軍の命令・関与を認めた大江健三郎氏の著書「沖縄ノート」の記述に対して、当時の日本軍守備隊長とその関係者が名誉毀損を訴えて起こしたものです。それに対して大阪地裁は、「集団自決に旧日本軍が深くかかわったと認められる」として、守備隊長ら原告側の請求棄却(つまり大江氏側の勝訴)の判決を下したのです。
全く以... [続きを読む]
受信: 2008年4月 4日 (金) 08時11分
» 映画『靖国 YASUKUNI』の助監督は話題作『ヨコハマメリー』制作・監督した中村高寛さん、映画としてもなかなか面白いらしい。 [雑談日記(徒然なるままに、。)]
ドキュメンタリー映画としても完成度が高いと言うのが見た人の多くの感想です。是非見てみたいですね。 靖国 YASUKUNIhttp://www.moon-leaf.biz/cinema/screen/200804Yasukuni-movie.shtml 李纓監督作品 刈谷 直治 菅原 龍憲 高金 素梅 製作総指揮 張雲暉/張会軍/胡雲製作 張会軍/胡雲/蒋選斌/李纓プロデューサー 張雲暉/焦青協力プロデューサー 山上徹二郎/李紅雨/徐祥雲/温港成/黄海波/愛萬撮影 堀田泰寛/李纓編集 大重裕二/李纓... [続きを読む]
受信: 2008年4月 4日 (金) 10時39分
» 『安心して老いる社会 ~介護先進国からの報告~』の再放送を [とくらBlog]
後期高齢者医療制度が始まり、保険料を年金から天引きするというニュースを見て、いや~な気持ちになりました。そういえば、この制度って小泉内閣の時に強行採決されて決まったんだと思い出し、強行採決はこわい!と書いた日の記事を振り返ってみました。あらためて、このまま自民党に任せていたら、私たちの老後は姥捨て山どころか、ソイレント・グリーンの映画に出てくるような悲しいものになるのではないかと怖くなりました。
考えすぎだと笑いたいのですが、山崎養世さんの新銀行東京に見る“お上”の甘さ~銀行だけに依存しな... [続きを読む]
受信: 2008年4月 4日 (金) 12時43分
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どうも、「事前検閲」などなければこれほど話題にもならなかったような気もするが、エラいことになってきましたなぁ。
しかしこうなんちゅうか、ヒジョーに無責任に言ってはみるんだが、映画人の燃える魂がなぁ……、などと言いながら蒲田行進曲の銀ちゃんなんかを思い出してしまう。で、な...... [続きを読む]
受信: 2008年4月 4日 (金) 14時02分
» 08年4月4日 金曜日 民主と自民 [護憲+グループ・ごまめのブログ]
08年4月4日 金曜日 民主と自民
昨日、朝ズバッに出演していた民主の小沢代表の事を書いたが、今日は自民党の伊吹幹事長が出ておられた。
まず、昨日大切な事を書き忘れたので其れから書くことにする。小沢代表が言っていた中に「米軍の思いやり予算は廃止するべき」と言っていた。
不景気による物価の値上がりで日本の国民は大きな負担を抱えているのに、日本に米軍が駐留している間、ガソリンの暫定と同じように続けるのは不自然だといっていた。
彼がテレビの中で此のようなことを言ったのは初めて聞いた。
考... [続きを読む]
受信: 2008年4月 4日 (金) 20時00分
» 追悼魯達「水滸伝」朱雀の章 [再出発日記]
「水滸伝」朱雀の章 北方謙三 集英社文庫「俺は志を抱いて生きた。志のかぎり、生き続けたかった。しかし、ここで倒れることになった。楊令、この無念さがわかるか。俺は、すべてを達観して、おまえと語ったつもりだった。しかし、心の底の無念さだけは語らなかった。お...... [続きを読む]
受信: 2008年4月 4日 (金) 23時43分
» 「郵政クビ切り物語」上映+池田さん・名古屋さん講演 [ロシア・CIS・チェチェン]
{{{
上 映:「郵政クビ切り物語−4・28処分と郵政職場」(05年・68分・ビデオプレス)
講 演:池田実さん(全逓)・名古屋哲一さん(郵政ユニオン)
日 程:2008年2月23日(土)
時 間:16時〜
場 所:佼成学園中高等学校 高校棟1F選択1教室
(杉並区和田2−6−29〓03−3381−7227/丸ノ内線「方南町」徒歩8分)
主 催:佼成学園教職員組合
連絡先:09014520913
}}}
【郵政クビ切り物語】http://vpress.la.coocan..... [続きを読む]
受信: 2008年4月 5日 (土) 19時03分
» 百姓一揆起きる( ̄□ ̄;)!! [Saudadeな日々]
年度末のバタバタに追われてたら、トラバで04/03郵政ユニオンによる33年ぶりのスト決行を知った。 強制人事配転に反対し、全国10支部・44名が一時間の時限ストを決行。 正規職も非正規職も連帯しての決起。 アッテンボロー様、情報ありがとうございます。 身を挺しての勇気..... [続きを読む]
受信: 2008年4月 6日 (日) 12時45分
» 「言論の自由」、聞いて呆れる不甲斐なさ [オギノフの肖像]
【「靖国」試写会の仲介 文化庁「事前検閲とは思わない」】
映画「靖国 YASUKUNI」をめぐる上映中止問題で、映画演劇労働組合連合会(映演労連)などは7日、文化庁を訪れ、同庁指導下の芸術文化振興基金が助成金を出した是非などについて聞いた。
芸術文化課は「助成方針で禁じている『政治的・宗教的宣伝意図』と、映画の政治的テーマとは分けて考えている」と答え、手続きは適正との立場を示した。
また、文化庁が国会議員向け試写会を仲介したことについて、同課は「公的助成の妥当性を国会議員から問われれば、仲介せざ... [続きを読む]
受信: 2008年4月 7日 (月) 22時15分
コメント
いちじゅさん、初めまして。ようこそお越しくださいました。私は残念ながら退職してしまったためにストを打つことは出来ませんが、今後も郵政内部の労働運動には関わっていこうと思っています。後ほどご紹介いただいた記事を読んでみます。
非常勤労働者の処遇が少しでも改善されることを祈っています。
投稿: アッテンボロー | 2008年4月 6日 (日) 23時54分
初めまして。都内某支店の集配課に勤務する期間雇用社員です。郵政ユニオンがストを打つとしたら全労協の統一行動がある4・3だろうと予測し、年休取得を控えていたのですが、残念ながら指名ストということで年休闘争でストライキ気分を味わいました。麻布局スト突入集会で東京新聞の取材を受け、私のコメントもちょこっと掲載されました。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008040390134939.html
日本テレビのニュースでも放映されました。
http://www.news24.jp/106451.html
投稿: いちじゅ | 2008年4月 6日 (日) 23時22分
TOCKAさん、詳しい解説どうも有り難うございます。郵政ユニオンについては私もまだまだ学ばないと行けないことが多いのですが、反対する会は組合の枠を超えて郵政職場の権利攻城の戦いを行っていく方針ですので、今後も郵政ユニオンの支援などをする機会があると思います。また宜しければ幾らでも長文で書き込んで下さいね。トラックバックの方が良いかもしれませんが。
投稿: アッテンボロー | 2008年4月 6日 (日) 10時39分
TOCKAです。TB有り難うございます。実は、荒川WSF,時期はずれの「郵政首切り物語」上映会、台東下町反戦と郵政ユニオンの仲間と行動していましたから、ストライキ方針については随分前から聞かされてましたし、議論してきました。関西では、顔わかんないので、話しそびれたけど(汗)。で、決行したのを知ったのは、なんとモルドバ労組連盟訪問中ですw。それで今日、帰国したところです。重要な点は記事の通りですが、少し加えます。これまで郵政非正規の雇い止めは撤回できなかった訳ですが、民営化という情勢の中で、改正パート労働法などの活用を早くから検討してきたこと、非正規の自立と正規の意識変革を勝ち取ってきたこと、も意義として大きいと思います。また、最近「流行」の若者労働組合は、あくまで非正規や周辺労働者だけが主体であり、多くは事実上職場ごとの分会を否定しています。この点、郵政ユニオンは原則的で、今後が大いに注目されます。以上、議論したら長くなるので・・・w
投稿: TOCKA | 2008年4月 5日 (土) 18時56分
GOさん、ストに突入した組合員は口々に会社に対する怒りを表明していました。全体としても50前後の支援が集まり、熱気溢れるスト突入集会でした。
正規職が非正規職の待遇改善を求めて闘い続ければ、労働運動の再生もきっと出来ることと思います。
関西派とか中央派とかは、今のところ気にしないようにしています。私自身の党派選択も済んでいませんので、同じ党争場所に来る人とは共に闘いたいと思います。
投稿: アッテンボロー | 2008年4月 4日 (金) 22時12分
ひさしぶりに労働戦線で活気のある記事に出会いました。正規職が非正規職とともに、非正規職のためにたたかう…これはホンモノです。
ちなみに、「関トラ分会」も関西派です(^^)
投稿: GO | 2008年4月 4日 (金) 20時45分