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2009年5月10日 (日)

簡易保険セールスマンの目から見た「かんぽの宿」問題

 日本郵政株式会社・かんぽ生命株式会社・郵便局株式会社はお客さんとの約束を守りません。なぜなら民営化以前、特に郵政省時代の簡易保険のパンフレットには「簡易保険7つの特長」の一つとして「簡易保険保養センターが利用出来ます」と必ず記載していたからだ。他にも幾つか特長があるのだが、そちらは後日に回すとする。

 簡易保険の古いセールスマンや窓口で簡易保険を販売していた職員なら、かなりの割合でお客さんに簡易保険保養センターや簡易保険加入者ホーム・東京五反田のゆうぽうと(前の二者を併せて「かんぽの宿」と言う)が利用出来ることをセールストークの中で使っていた。かんぽの宿は保険加入者へのオマケなのだから、宿泊価格は赤字覚悟の低料金に設定されていた。元々が儲ける気など無いのだ。よその保険会社にはない付加価値として存在したから、同じ保険にはいるなら簡易保険に入るというお客さんは沢山いたし、満期で保険契約が無くなると行けないというので新規契約につながることも多々あった。勧めなくてもかんぽの宿に泊まりたいと言うだけで保険に入ってくれる。楽だった。

 90年頃まではとても大らかだったから、宿泊の際に宿帳に「加入している」と書くだけで済んだ。実際に加入している必要は無かった。簡保の宣伝施設だから後々契約に繋がればそれで良い。都合が悪くなっても当日キャンセルでも手数料不要。郵便局の端末機では空室が検索出来たから、空きのある施設を紹介していた。半年前から申し込むことが出来たから、あるお得意様は毎年2月になると私を呼んでお盆の予約をしていた。集金の担当区域が変わっても贔屓にしてくれた。問題は当時各保養センターごとに利用予約を受け付けていたから、外れた時に備えて複数申し込んだお客さんが居たことだろう。後にそれは改善されて、宿泊施設と日程が第一希望から第三希望まで記入する形式になった。

 バブルが弾けると、真っ先に打撃を受けたのが観光産業だが、かんぽの宿だけはいつも満員だった。安くて料理も満足出来る物だからだ。1万円出せば一泊二食付きで女性は食べきれないほどの料理が出る。素泊まりも出来るし日帰り利用も出来る。その性で「民業圧迫」(またしても)の声が観光協会や宿泊協会から出てきて、簡易保険利用者と未加入者との間で料金設定を別にするようになった。最初は500円、後に1000円。それでも安い。だから利用の際には簡易保険に加入をしていることの証明が必要になり、保険証書か領収帳を持参して貰うようになった。最初は契約者さえ宿泊すれば全員が加入者料金。後に厳しくなって証書に名前が記載されている契約者・被保険者・保険金受取人のみが基本料金で、そうでない場合は未加入者料金になる。ある年、弟家族が簡保センターを利用するのだが未加入なので料金が安くならないかという。宿泊当日に契約して加入者料金にしたことがある。(身内が何故保険に入っていないのか、漢字生保の契約者なら疑問に思うだろうから、この点については簡易保険と漢字生保の大きな違いとして後日記事にする)

 90年代から脚光を浴びたのが「公共の宿」。書店には全国各地の公共宿泊施設を紹介した雑誌が並んでいた。処が郵政省所管の施設でありながら、厚生省所管の物と違って紹介が出来なかった。都道府県や市町村が運営する物は地域振興策として掲載出来た。どこからどの様な圧力が掛かったのかは知らないが、かんぽの宿と郵便貯金会館(メルパルクやメルモンテ日光霧降・メルパール伊勢志摩)は排除された。宿泊予約の効率化のために全国一括の予約センターが出来たために、簡易保険の外務員や窓口担当者とは直接の繋がりが無くなり、お客さんにも勧めなくなった。せいぜい局の窓口にチラシが置いてある程度だ。保険事務室には近畿各地のかんぽの宿のキャンペーンチラシが置いてあるが、他の郵政局(後に支社)の物は無い。御所局の場合、集金先や訪問先で毎回毎回保険の勧誘をするわけにはいかないから、私は積極的にこのチラシを配り、郵便商品のパンフレットやチラシを配ったが、私が配りきれなかった物はゴミ箱行きだった。保険契約・貯金預入に直接結びつかないことは郵政内部の事ですら誰も手に付けない。( 「なぜか郵便営業」 「郵便営業で表彰」参照)

 郵政民営化によって加入者専用施設という制約は無くなった。旅行代理店と提携すればいくらでもお客さんは集まる。料金が低くて赤字になると言うのなら数千円程度値上げしても大丈夫なだけの質はある。実際、平群・有馬・富田林・鳥羽・三ヶ根・西大寺・ゆうぽうとと利用したが、どこも値段以上に満足出来た。奈良の赤目に一泊二食で約15000円の旅館があるが、ここよりかんぽの宿の方が絶対良い。大広間での食事という点では同じだが料理は圧倒的にかんぽの宿が上だ。飛騨亭花扇( 「飛騨高山」参照)になると料理も良いし部屋でのんびりと人様に遠慮することなく食事出来るので遠く及ばない。しかし予算が1万~15000円ならかんぽの宿で十分だ。民分の過程で大幅に減少したとはいえ未だに2万以上の郵便局と数万人の渉外要員、更には膨大な退職者が居るわけだから、このネットワークを活用しない手はない。オリックスは値上げして利用することを考えて買収しようとしたのだろうし、日本郵政の幹部は銭儲けしか頭になくて視野が狭いから単純に土地転がしで儲けようとしたのだろう。丁寧にテコ入れすれば莫大な利益をもたらしてくれる施設を手放すのだから勿体ない。現に数日前大阪の郵便局でかんぽの宿のパンフレットがないかを訪ねたところ、「関係が無くなりましたので有りません」と素っ気ない。大阪中郵移転のチラシを貰った局のことだ。平群の営業さんは非常に努力しているようで、大和高田の何カ所かの郵便局でチラシを見かけた。

 組合的にはかんぽの宿の職員は圧倒的に旧全逓だ。元々は事業団支部という事で別組織であったが、04年の「JPU」への名称変更と同時に施設ごとに最寄りの支部の一分会となった。奈良支部連絡協議会の場合平群は西部支部、西大寺は多分奈良中郵支部ではなかったかと思う。もしかしたら北部支部かも知れないが。売却によって一年間しか雇用が保障されないと言うことが報道されていたが、JP労組は何をしているのだろうか? ホームページを見ても何も分からないし、組合員がパスワードを入力しないと閲覧出来ない項目が非常に多い。衆目にさらすことが出来ない事が沢山あるのだろう。二組全郵政との合併まではこんなことは無かった。そして売却によって日本郵政グループを離れるわけだから様々なお付き合いが無くなる。日本の労組は基本的に企業別組合という弱点を抱えている。逓信省が廃止されて郵政省と電気通信省が出来るまでは組合が全逓一つだったが、1949年6月1日郵電分離、52年の日本電信電話公社設立の過程で全電通(現在のNTT労組)が分家した。

 全逓奈良地区時代に地区大会が開催される時は、東西南北吉野の5支部回り持ちで、北部は西大寺簡保センター、西部は平群簡易保険加入者ホームか旧新庄町の(現在の葛城市)奈良県社会教育センター、東部は榛原町立美榛苑(現在の宇陀市)、南部は五條市の何とか言う半官半民のホテル(潰れたのかして検索に引っかからない)、吉野は杉の湯と相場が決まっていた。基本的に公共施設で、各種宿泊研修も同様だ。これは近畿地本や本部も同じだったが、90年代から急速な変質を遂げ、今は大資本のホテルで開催するのが普通になった。ジーパンにTシャツで参加出来た物がスーツ着用を義務づけられるようになった。近畿の場合だいたいは弁天町の三井アーバンホテルか江坂の東急インだ。日本郵政の西川前社長が三井住友銀行元頭取であることと関係があるのかどうかは分からない。何にせよ組合ルートでの利用もいずれ無くなる。

 私見では、かんぽの宿は日本郵政グループの中でもかんぽ生命が保有し続けることが一番メリットが大きいだろう。小泉・竹中・西川・宮内は郵便局を食い物にしたいだけなのでそんなことは関係ないわけである。

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コメント

 なのなの勢力さん、まだ安く泊まる事は出来ますよ。売却の話が出ていますからいつまで続くか分かりませんが。

 釣工よさん、面白い情報どうも有り難うございます。今日漸く読めました。

 GO@あるみさん、かんぽの宿は本当に良いですよ。民間企業に払い下げになる前に是非一度ご利用下さい。

 TAMO2さん、本当に勿体ない話です。民営化によって安い宿が高くなってしまう。

投稿: アッテンボロー | 2009年5月14日 (木) 22時16分

赤目の簡保の宿には大昔お世話になりました。こんな値段でいいの?と思いました。

投稿: TAMO2 | 2009年5月10日 (日) 20時08分

TBありがとうございます。「決意表明」の時にはコメントを送れず申し訳ありません。
簡保の宿は、「公共の宿」として、安いけれども良質なサービスを提供していたのですね。私が大学の鉄研時代によく利用していたユースホステルなんぞ、当たり外れが酷くって・・・(^^)国民宿舎なんてのも、安くて持込みで酒が飲めて、予約にハガキを出さないといけないなど、少し面倒くさいが、いいもんでした。
公共サービスは、採算性よりも低料金というのが、基本です。先だって行ってきましたロシアでも、公共交通は安い!地下鉄も日本の半額以下ですわ。(そのうち拙ブログでも報告いたします。)
ではではhappy01

投稿: GO@あるみさん | 2009年5月10日 (日) 19時46分

http://locolo.blog.so-net.ne.jp/2009-05-05
小泉が沈黙した理由は。
http://plaza.rakuten.co.jp/seizaikaiclub/diary/200904220000/
自民党の金庫に金がない?
田原さんもこれじゃ・・・・
http://blogs.yahoo.co.jp/voteshop/folder/60653.html
自民からの講演料ねぇ。

投稿: 釣工よ | 2009年5月10日 (日) 16時19分

10年以上前のこと。バイク屋さんのツーリングで、男鹿半島の簡保の宿に泊まった。すごく安かったのに、かなり贅沢な宿だった。そうだったんだ。

バイク屋のオヤジが言うには、「こんな大人数の予約はなかなかとれないんだけど、ほら、ここの支配人があれだから・・・」

バイク屋さんは、郵便局のバイクのメンテナンスをしている業者でもあり、支配人がその関係の人だったそうだ。おそらく、きっちり6か月前に予約を入れたんだろう。

いつかまた行きたいと思っていたけど、あの値段では泊まれないんだろうなぁ・・・はぁ。

投稿: なのなの勢力 | 2009年5月10日 (日) 04時55分

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