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2010年9月11日 (土)

ペイオフ発動 小泉・竹中の錬金術

 90年代の金融危機以来、ペイオフ発動のために郵貯民営化をと主張してきた民間金融機関と大蔵族・厚生族である小泉の悲願がとうとう実現された。

 ペイオフ制度が出来たのは1971年のことである。だが「護送船団方式」と言われる政府の民間金融機関保護政策と高度経済成長の時代でもあったことから発動されることはなかった。実際に問題となり出したのは90年代後半の金融危機のことである。1996年に住専問題で7000億円の税金が投入され、当時の大蔵省と農水省との間の密約が問題となる「住専国会」があった。。(住専には農協や農林中央金庫などが融資を大量に行っており、農協系金融機関を優先的に返済するというもの)1998年、日本長期信用銀行(現新生銀行)に1,766億円の公的資金が(米リップルウッドなどに売却された際の価格は10億円)・日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)に600億円の公的資金が投入された。あおぞら銀行は後に2000年にオリックスなどのグループ企業に売却された際にも3兆2,428億円の公的資金が投入されている。両行ともその後瑕疵担保特約によって更なる公的資金が投入された。「金融国会」

 98年には都銀として北海道拓殖銀行も破綻した。また証券業界では、97年山一証券、三洋証券が破綻した。生命保険では97年日産生命(あおば生命を経てプルデンシャル生命)の破綻を皮切りに、2000年に協栄生命(現プルデンシャル生命)と千代田生命(現AIGスター生命。AIGがサブプライムローン問題で経営危機に陥ったため同系列のAIGエジソン生命との合併・AIG生命発足の計画は頓挫。なお同じグループのアリコジャパンは分離独立する予定である)が破綻。同じく第一火災海上保険相互会社が破綻。2003年には、りそな銀行が経営破綻し一時国有化されていた。

 郵政民営化の過程ではペイオフの資金である預金保険機構への保険料と郵貯の預入限度額が問題となった。政府保障のある郵貯に対して、銀行や信用金庫は保険料負担が経営にとって不利であるし郵貯が国営で存在する限りペイオフが発動できないとの主張が為された。これは農協・漁協の場合は「農水産業協同組合貯金保険制度」、生命保険については「生命保険契約者保護機構」、損害保険については「損害保険契約者保護機構」が担っている。また国営時代に預け入れられた郵便貯金と簡易保険は独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が継承し政府保障が継続している。民営化後のゆうちょ銀行とかんぽ生命はそれぞれ預金保険機構と生命保険契約者保護機構に加入している。

 限度額1000万はペイオフ1000万の根拠となっており、民間金融機関に対しても郵貯と同額の保障をせよと言うのである。またペイオフによる補償金額を引き下げて保険料負担を下げることを目的の一つとして郵貯預入限度額引き下げの要求もある。郵貯・簡保の政府保障を根拠に、金融危機の過程で民間金融機関に対して莫大な税金及び公的資金が投入されたが、その資金の一部には国債購入という形で郵貯・簡保の資金が充てられた。民間金融機関が郵貯・簡保は国債購入などの形で資金運用を行うため運用益が税金で保障されていると批判していたが、実は郵貯・簡保というトンネル経由で民間金融機関救済にも利用されているのである。

 さて、小泉純一郎内閣時代に郵政民営化担当大臣・金融大臣・内閣府特命担当大臣金融、経済財政政策担当を歴任した竹中平蔵と2010年9月10日に経営破綻し、史上初のペイオフを発動させた日本振興銀行創業者の1人木村 剛(きむら たけし)金融庁元顧問とは親密な関係である。同じく創業者の1人平将明(たいらまさあき)は2005年9月11日、いわゆる郵政選挙で当選した小泉チルドレン。03年、日銀出身で竹中チームの一員であった木村がサラ金の資金元であるノンバンク「オレガ」経営者落合伸治に助言し、賛同した平と三者で日本振興銀行設立計画発表記者会見している。勿論94年設立当時小泉も竹中も政権の中枢に有り、設立の経緯に関わっているのは言うまでもない。。その後日本振興銀行は「『破綻しても1000万円とその利子までは国が保護する』ことをうたい文句に、他行より高金利で定期預金を集めてきた」「金融庁は『制度を悪用したモラルハザードだ』(幹部)との批判を強めている」(毎日新聞9月10日付け夕刊より) 95年8月30日に破綻した木津信用組合は破綻直前に当時の定期預金金利相場より相当高い金利を付けていたし、拓銀も破綻直前には当時大蔵省から大丈夫かと打診されるくらいの高金利だった。(Wikipediaの95年8月の出来事には木津信と同じ日に破綻した兵庫銀行の記述はあるが木津信は記載されていない。また7月31日のコスモ信組もない)

 さて小泉純一郎と竹中平蔵は郵政民営化を推進してゆうちょ銀行にも預金保険料を負担させ、同じ手で預金保険をアテにする日本振興銀行を設立したのである。ゆうちょ銀行が07年10月1日以降に預金保険機構に支払った保険料の内、一体いくらが日本振興銀行に預金をしていた人々に支払われるのであろうか?

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。

投稿: 生命保険の選び方 | 2010年9月21日 (火) 01時48分

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