書籍・雑誌

2012年5月 1日 (火)

「革命的左翼という擬制」

 つまらぬ本を読んでしまった。アマゾンの中古で買ったので著者である小野田穣二に印税が入らなかったことが唯一の救いだろうか。

 革共同をファシストカクマルに屈服させ総転向させようとして失敗し、革共同政治局員から脱落、その後急速にカクマルに接近し黒田寛一と松﨑明を持ち上げる。尚かつ公安のスパイを斡旋するという腐敗分子。少なくとも酒と女で身を持ち崩した僕よりも劣る輩である。  

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2009年5月31日 (日)

追悼 栗本薫=中島梓さん

 独立開業に向けた準備のために東奔西走、寝食を忘れて飛び回っているために栗本さんの訃報は瀬戸さんのトラックバックで今夜知りました。
 思えば15~22才くらいでしょうか、革命運動に身を投じるまでは芥川龍之介と並んで好きな作家でした。(どういう基準なんでしょうね?)
 グインサーガに魔界水滸伝、伊集院大介シリーズに僕らシリーズ、「神州日月編」などの伝奇小説に「翼有るもの」などの耽美小説。「心中天の浦島」、スターウォーズをパロってルーク=ジョニーウォーカーなんてのが登場する小説。
 本当に楽しめました。
 「傭兵騎士団」(略称THK)で知り合った人々の中には、今でも年賀状のやりとりをしている人もいます。83年?のグインコンスタッフとしての日々は、浪人時代の一服の清涼剤でした。
 謹んで栗本薫さんのご冥福をお祈りします。

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2008年10月 9日 (木)

「農地収奪を阻む 三里塚農民怒りの43年」反対同盟萩原進さんが本を出版 (転載大歓迎)

 成田空港建設という国策に屈せず、今も耕し続け空港完成を阻む一農民が綴った赤裸々な闘争宣言!

目次
 刊行に寄せて 北原鉱治事務局長
 第1部 闘いは大地と共に
  第1章 寝耳に水の空港計画
  第2章 権力の正体を見た
  第3章 代執行から開港への闘い
  第4章。あの手この手の切り崩し攻撃
  第5章 二一世紀の三里塚攻防

 第2部 崖っぷちの食と農
  日本の農業と三里塚
   [座談会]坂本進一郎+小川浩+萩原進
  産直農家はこう考える
   [座談会]市東孝雄+鈴木謙太郎+萩原進

 第3部 三里塚労農連帯の地平
  反対同盟と動労千葉の絆[対談]中野洋+萩原進
  労農同盟で世の中変えよう

 著者紹介 萩原進(はぎわら・すすむ)
 1944年8月1日、千葉県印旛郡遠山村(現成田市)堀之内で生まれる。子供の頃、成田市東峰の開拓部落に移り住む。63年3月、千葉県立多古高校卒業。シルクコンビナート事業に参加するが、66年、成田空港建設の閣議決定でその夢を砕かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟に参加、三里塚闘争に一身を投ずる。初代青年行動隊隊長。83年「3・8分裂」の後、反対同盟事務局次長になり、今日に至る。

発行 編集工房 朔 TEL/FAX 050-1049-0387
〒101-0061  東京都千代田区三崎町2-17-8皆川ビル3F
E-mail:kobosaku@yahoo.co.jp

 反対同盟では10月24日に発行となる萩原さんの本の事前予約運動を行っています。一人でも多くの方が、一冊でも多くの本を予約してください。

定価は1800円ですが、10冊以上を予約すると特価として一括送料込みの1600円で購入することが出来ます。
申し込み締め切りは10月20日
申込先は編集工房朔気付け「萩原本」係宛にFAXまたは郵便で

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原子力空母横須賀配備・母港化反対バナー

バナー作成は「雑談日記 徒然なるままに」のSOBAさん

 

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2008年7月27日 (日)

雲と火の柱 -地下生活者の手記

 7・27政治集会に参加してきた。関西派・革共同再建協議会の方である。早速報告記事を書けば良いのであるが、とある同盟員の方に公式発表より早く記事にされるのは困るので、二日ほど日を開けて掲載して欲しいと頼まれた。なので集会の参加人数などについても大げさな誇張はなかったとの印象のみ記すだけに留めおいて他のことについての記事を書こうと思う。

 会場である尼崎労働福祉会館には開場時間の12時半より約1時間早く到着した。何人かの古参活動家の人たちが、久しぶりと声をかけてくれた。高校の同級生からは、どっちかハッキリしろと党派選択を迫られてしまった。かと言って高校の同級生も関西派と中央派に分かれてしまったし、全逓戦線も地区党も分裂してしまった。どちらにも知り合いが沢山いるので、一方を選ぶというのも結構難しい。最初は除名されたときの感情的しこりが有ったので、地区党が分裂していなければ、いない方を選択しようかとも思ったりした。どちらに付くかハッキリするまで少々時間がかかりそうである。取り敢えず来週の日曜は中央派の政治集会に参加する予定だ。

 会場入り口には沢山の書籍や機関紙・パンフレットが並べられて販売されていた。宇野経済学批判のパンフレットを買い求め、関西派の理論誌「展望」の2号を購入した。その横に「雲と火の柱 -地下生活者の手記」の宣伝チラシが置いてあった。手にとってみると「関西革命軍の20年史を小説化」とあった。これだけで私の琴線に触れる言葉である。早速買うことにした。集会が始まるまでの時間をこの本を読むことに費やした。分量的には1時間も有れば読めてしまう。防衛上の配慮が有るために具体的な記述を避けた部分が多くあるが、自分の活動経験で補って読むと、軍に所属していた人たちの苦労がおぼろげに伝わってくる。地下生活の経験がない人であっても、革命軍の苦闘をかいま見ることの出来るだろう。

 主人公の中井清は、「ひたすら汗を流す役割を努めた。転々と職場を替えながら自分の食い扶持とモグラ生活に必要な資金を調達する役割を担った。」対カクマル戦争、対権力武装闘争の中で只ただ、人民革命軍武装遊撃隊を維持するために兵站を担当していた男の物語だ。勿論公然面の活動家も革命軍を支える活動が色々有った。私自身も幾つかの貢献をしたことが有る。一番簡単なことは自分の賃金・一時金から党に上納することだ。軍に限らず常任と呼ばれる職業革命家や学生活動家の生活を支えるのが労働者活動家の最低限の任であった。

 地下生活者は国家権力警察に補足されないために偽名を使って生活することが必然的となった。だから一つの職場に長く居続けることは出来ない。作中の中井清も本雇にするからと住民票などの提出を求められると、それが出来ないために退職することを余儀なくされた。さまざまな仕事先で底辺層の労働者に接したものの、職場の労働条件改善のために闘うことも出来ず、ただ見守ることしか出来なかった苦渋が伝わってきた。私のような公然活動家の場合資本・当局との攻防の中で自らの怒りを爆発させることが出来たが、革命軍の兵士はその様な事をして権力にマークされるわけにはいかない。断腸の思いであっただろう。

 会議のために、登山客を装い山登りをしながら打ち合わせをしたり、脈管と呼ばれる公然面と非公然面とを繋ぐ役割を担った人々。実際に戦闘を担った部分については記述は無いが、それでも革命軍の様子を窺い知る事が出来る。革命軍の闘いはやがて90年天皇決戦として結実していく。天皇アキヒトの即位儀式に対して100を超えるゲリラ・パルチザン戦闘が貫徹され、大嘗祭の当日や即位の例当日は東京中を緊急車両が走り回る事態となった。数万の警察機動隊を動員しても人民の海の大海を泳ぐ革命軍を封殺する事など出来はしなかった。権力の力は有限であり、人民が創意工夫を凝らせばどの様な闘いも出来るのだという事を満天下に示す闘いを勝ち取った。そういった革命軍のあり方を教訓化し、日帝打倒の今後の闘いに生かすためにも、多くの人々に読んで欲しいと思う。

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2008年1月 8日 (火)

久しぶりに「イスト」購入

 2004年の9月11日だったか12日に除名されて以来、本当に久しぶりに中核派の理論誌である「共産主義者」を購入した。みんなは略して「イスト」と呼んでいる。購入したのは151号と154号で、それぞれ革共同第22回拡大全国委員会総会と第23回全国委員会の報告・決定集である。今現在進行している中核派の分裂劇を理解するためには必読の文献だ。ある人から是非とも読むべきだと勧められ、去年の12月始めに注文した物が漸く今日届いた。色々と混乱があるのだろうか、時間が掛かった。

 中央の見解を知るためには機関紙「前進」と「イスト」とは必読の書である。読後の感想がどうなるかは分からないが、読まずに論じることは出来ないだろう。同様に新関西派の党員総会報告集と「革共同通信」も読まなければ双方のどちらが正しいのか、或いはどちらも間違っているのかを把握することは出来ないだろう。昨日今日と体調が悪くて寝込んでいたのでまだ封を切っただけなのだが、読み応えがありそうだ。

 最新情報については24回拡大全国委員会の報告がそろそろ出るであろうから、それも読む必要があると思うのだが、先ずは事の発端から知るのが肝心だと思う。外部にいると何となく何故分裂せざるの得ないのかという疑問が湧いてくる。双方がお互いに革命について自己の主張をしている訳で、色々と食い違う点もあるようだ。どうしても革共同中核派に期待を持っている人間としては分裂の行方が気になる。分裂して上手く行った場合は功名争いで大衆運動の盛り上がりを築いてくれるだろう。失敗した場合には革労協の狭間派と山茂派との悲惨な内内ゲバの対立があるかも知れない。だが革命的理論無くして革命的運動も党もないのだから、しっかり勉強が必要だ。

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2007年12月31日 (月)

「水妖日にご用心」

 ここ数日、パソコンに向かう時間を減らして読書に励んでいる。田中芳樹の最新作の「水妖日にご用心」が祥伝社のノンノベルズから出たのがきっかけで、同じく田中芳樹の「月食島の魔物」も読破し、今日は網野善彦の歴史書も一冊読み終えた。最近にしては非常に良いペースだ。

 「水妖日にご用心」は薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズになる。警察権力は大嫌いだが、この警視は好きである。警察機構に対する批判や政財界への辛辣な論評が小気味よい。今回は南アジアのネパールをモデルにした小国の王子が千葉県浦安にあるテーマパークをモデルにしたザナドゥランドを訪問し、暗殺者に襲われる。「テロリスト」と言う言葉を無批判に使っているのは気に入らないが。

 で、敵役であるこの暗殺者がまたまた超人的な身体能力の持ち主で、女王様は大苦戦を余儀なくされる。今までは余裕で敵を倒して来たお涼様とも思えない。余り書くとネタバレになっても困るのでこの辺にしておくが、楽しめる一冊だった。

 今日は実家に帰省しているので、久々に携帯からの投稿になる。三日に帰宅するまではパソコンが使えない。不便な物だ。

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2007年11月15日 (木)

「ナゲキバト」を読んで

 よく拝見している瀬戸智子さんの「瀬戸智子の枕草子」「ナゲキバトを読んで」と言う記事でこの本を知った。簡単な粗筋に興味を引かれた。やはり瀬戸さんの文は人を引き込む魅力がある。出版社を教えて貰いインターネットで注文した。最寄りの書店に届けて貰う。八月下旬のことだったがその後色々と体調を崩したりしていて未読のままであった。漸く一昨日と昨日とで読み終えることが出来た。作品自体はそんなに分量はなく、文体も非常に読みやすいものであるが、内容が内容であったので色々と考えながら時間を掛けて読んだ。

 交通事故で両親を亡くし祖父の元に引き取られた少年が、或る時好奇心から猟銃でナゲキバトを撃ち殺してしまう。アメリカの片田舎が舞台であるので銃は身近な存在であるようだ。撃ち殺したナゲキバトには二羽のひよこが居た。残されたつがいの一方では二羽の雛を育てることは無理であるため、祖父はどちらか一方を選んで始末するように言う。少年は悩みつつもその一羽を選ぶ。少年の苦悩が伝わってくる。安易に銃を使ったことに対する後悔の念だ。

 半年ほど後には少年の牛が死に瀕することになる。仔牛が少年の不注意でアルファルファの芽を食べてしまったからである。アルファルファを食べると牛の胃の中でガスが発生し、ゲップをすることが出来ないために苦しんで死んでしまうのだ。仔牛の苦しみを取り除くために少年は再び銃を取る。仔牛に対する責任を感じつつ、少年は引き金を引く。

 命を巡って色々と決断を迫られる場面が登場する。祖父の語った昔話にもその様な場面があって、少年は考える。日本人である私にとって神は絶対のものではないし、まして宗教を否定する共産主義者にとっては無縁である。だがしかし少年にとっては命や神や誠実であることについての様々な問いかけが為される。少年は9歳であった。幼い心で一つ一つの重大な選択を為していく。

 私はかつて機動隊と市街戦を演じた時、警官を殺す気で掛かっていった。今でも労働者階級を苦しめる資本家とその手先は処刑されて当然であると思っている。だが罪無き者を、愛しいものを手に掛けるという選択を迫られた場合どの様な行動を取るだろうか。少年のように悩み苦しむであろう。そこからの逃亡は許されない。苦渋の決断と無縁であることは幸せであると同時に命の大切さを知る機会に恵まれていない不幸なのかも知れない。

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2007年10月29日 (月)

「サウスバウンド」 左翼を知らない人が書いた『過激派』の小説

 風邪をこじらせて一週間寝たきりであった。お陰で当初予定していた用事を二件ほどキャンセルするハメになった。本当はどちらも非常に楽しみにしていた用事で、鬱病の気分転換にはもってこいの行事であった。ひたすら布団に横になっていたのだが、風邪を引いていない普段の鬱状態の時は朝から晩までひたすら寐ていたというのに、何故か寝付く事が出来なかった。そこで仕方なくと言うかこれ幸いというか読書に励む事にした。活字の本を7~8冊とマンガを20冊ほど読んだ。ここ暫くの鬱状態の中では驚異的な読書量である。読んだ本の殆どは古本で手に入れた物であったが、例外的に新刊の文庫本を読んだ。今現在上映中の「サウスバウンド」の原作小説である。

 発行当時マル共連などで「過激派」が登場する小説と言う事で話題になっていたのだが、その際にも左翼的事柄については作者の取材不足・想像力不足が上げられていた。実際読んでみて、小説としては非常に面白く時間が経つのを忘れて没頭できる巧みさが有ったのであるが元活動家としては随所に登場する「過激派」のいい加減さというかトンチンカンな様子が気になった。

 ざっと粗筋を紹介すると元「過激派」の両親を持つ少年上原二郎の視点で父親の奇妙な言動を面白おかしく描いている。例えば修学旅行の積立金が高すぎる事から校長などが収賄をしているのではないかと疑って学校に怒鳴り込んだり、家庭訪問に訪れたノンポリの教師に対して色々と政治・思想の議論をふっかけたりして、少年からすると困った父親である。そこに不良少年とのいざこざなどが絡んで物語は進んでいき、ある時父親がかつて所属していた党派の活動家を居候させる事になったのだが、その居候が敵対党派の大幹部を襲撃殺害した事から一家は借家を追い出されて沖縄の西表島に移住する事になる。何でも父親の祖父ががガンジンさんと言う琉球の偉人でお陰で大歓迎を受けるのだが、降って湧いたリゾート建設のために立ち退きに抵抗するも力及ばず、両親は琉球の伝説の楽園へと旅立ってしまう。

 気になった幾つかの点はと言うと、先ず現役活動家が敵対党派の大幹部宅に盗聴器を仕掛けるのであるが、襲撃の際と2回にわたって二郎少年に手引きさせている。子供を使う事で警戒を解こうというのだろうが、実際には革命軍はその様な事はしない。革命軍の組織としては情報収集を行う部隊・連絡を取り合う脈管と呼ばれる部隊・戦闘を遂行する部隊・撤収作業を支援する部隊というように様々に役割分担が為されている。処が「サウスバウンド」では情報収集から襲撃までをたった一人の活動家が行うのだ。ハッキリ言って嘘っぱちも良いところである。次にこの活動家は居候していた二郎少年の家に荷物を残して戦闘に望んでいるのだが、左翼の間では証拠を残さないために「ガサ対」(家宅捜査対策)と称して一切を処分する。何故なら実行部隊が権力の捕虜となった場合には反復して戦闘する能力を削がれる事になるからである。

 一番気になったのは、少年の父親上原一郎が新東京国際空港に反対する闘争を「成田」と複数の箇所で読んでいる事である。左翼は日共スターリン主義や現代のナチスファシストカクマルを除けば「三里塚闘争」と表現するのである。「成田」と表現するのは政府・警察権力とそれに追従するマスコミである。良心的なマスコミの場合は「三里塚」と表現する。また「過激派」という表現自体がマスコミ用語なのである。国家権力警察の場合「極左暴力集団」と言うのであるが、我々は「革命的左翼」と自称する。マスコミでは権力に近い者は「過激派」と言い、革命的左翼に近い者は「新左翼」と表現するのである。一つ一つの言葉を取ってみてもどの様な階級的立場を取るかが如実に現れる。その辺が作者奥田英朗ノ限界なのであろう。

 巻末に参考文献が列挙されていたが、沖縄のユイマールや八重山の風俗などについては丁寧に調べているのであるが左翼に関しては「全共闘」(河出書房新社)「蜂起には至らず 新左翼死人列伝」(小嵐九八郎著 講談社)「連合赤軍少年A」(新潮社)くらいしか紹介されていない。勿論警察庁のサイトなども参考にしているようであるがもっと丁寧に調べていれば、より迫真の小説となっただろうと思うと勿体ない気がする。とりわけ小嵐九八郎などはその著書で解放派革命軍の日常まで克明に描いている。その為に一時革労協狭間派からお尋ね者になったようである。

 何だかんだと革命運動の経験者からするといい加減なところやデタラメが目に付いたのだが小説としては面白い。一読の価値はあると思う。  

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2007年8月20日 (月)

「安藤昌益」を読む

 図書館で借りてきた平凡社選書の「安藤昌益」(安永寿延)を読んでいる。日本における共産主義思想の先駆者とも言える安藤昌益は、Wikipediaによると「身分・階級差別を否定して、全ての者が労働に携わるべきであると主張した。 特に著書『自然真営道』の内容は、共産主義や農本主義、エコロジーに通じる考えとされているが、無政府主義(アナキズム)の思想にも関連性があるという、間口の広さが見受けられる。またこの書の中で安藤は日本の権力が封建体制を維持し民衆を搾取するために儒教を利用してきたとみなし、孔子と儒教を徹底的に批判した。発見者・狩野亨吉をして「狂人の書」と言わしめ、レーニンをもうならせたという。」とある。

 よく共産主義思想を外来の物であって日本には適用できないかのように言う人々が存在するのであるが、江戸時代中期にこのような境地にいたる思想を獲得していた人物がいるという事は、いかなる政治体制・歴史的条件があろうとも資本主義社会が共産主義社会の前段階であるという事に強固な裏付けを与えるのもではないだろうかと思う。どの様な体制にあっても支配階級は働かずに富の殆どを独占する。働く者はその富の極々一部しか得ることが出来ない。このような社会の矛盾に気づき、その社会体制に反抗する思想と結社とをマルクス・エンゲルスに先立つこと100年前に作り上げていることは驚愕に値する。それだけ当時の日本国内における資本主義の発達が顕著であったとも言える。

 一人の共産主義者として、私は安藤昌益に興味を持っていたのであるが、図書館の蔵書にあったためにその思想の一部に触れることが出来た。自らの思想を磨き上げるためにもっともっと先人の労作を学ばねばならないと思う。

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2007年3月28日 (水)

「空疎な小皇帝 『石原慎太郎』という問題」

 斉藤貴男氏が「世界」に掲載し、その後2003年に一冊の本にまとめた本を読んでいる。石原慎太郎という男が如何に下劣で、差別的で、節操が無く、小心者でありながら虚勢を張る人間であるかが良く分かる。現在問題になっている都政の私物化・身内に対して徹底的に利益誘導を行いながら、社会的弱者に対しては予算を削減して生活を破壊しているかについてを一期目の都政の期間、それ以前の国会議員時代の問題行動も復命丁寧に拾い上げている。その政治は徹底して人間の心の奥底に潜んでいる負の感情を鼓舞することで行われている。石原がファシストといわれるゆえんである。事実に基づかず感情を煽り社会的弱者に対する差別排外主義をもって、江戸時代の「上見て暮らすな下見て暮らせ」といって人々の向上心を奪っている。

 一期目の銀行への課税、ディーゼル車規制など、一見「斬新」に見える政策の殆どが人気取りのために思いつきで導入された物であり、結果、銀行に対しては多額の賠償金を支払うことになった。ディーゼル車についても欧州ではガソリン車より環境に対する悪影響が少ないという評価があることを無視して一方的に規制した。多くの庶民が自動車の買い換えを余儀なくされ、自動車メーカーと販売店に暴利をむさぼらせた。石原の政治手法は小泉と同様「仮想敵」を作り上げそれに対する嫌悪感や反感を組織する。副知事に登用した浜渦などが行った暴力事件をもみ消し、事実を報道した新聞記者たちに対しては圧力をかけて都庁担当から外し地方に左遷させた。都の職員の間でも同様である。多くの幹部職員が石原の顔色を窺って仕事をするようになった。都立病院の統廃合による弊害。秋葉原再開発に関しては、元秘書が在籍する鹿島建設を中心とした共同事業体に有利な入札を行い、私腹を肥やしている。

 豪華な海外視察や四男を「余人を持って代え難い」などと称して都の文化事業予算を無駄遣いする。都の予算で選挙ポスターまがいの物を作って配布する。収賄はしたい放題。これらの悪行は何も昨今だけの問題ではないのだ。一期目当時から既に行われていたことが良く分かる。

 自民党の鷹派グループであった青嵐会では幹事長を務めていながら「同志」を簡単に裏切る節操の無さ。ハマコーや中山などといった元青嵐会の「同志」から、石原には「NOと言える日本」などという言葉を吐く資格がないことを徹底的に批判されている。拉致被害者の問題などでも石原は自分にとって都合の良い点だけを取り上げて、何の対応もしてこなかったのにデマを並べ立てて成果だけを奪おうとしている。この点については拉致問題に一貫して取り組んできた中山衆院議員が裁判を起こしていたようだ。結果までは書かれていなかったが。

 障害者差別・高齢者差別・女性差別・民族差別などありとあらゆる場面で差別発言を行い、それを都政の中でぐいぐいと推し進めている。よくもまあこんな男に投票する都民がいる物である。何としても三選だけは阻止しなければならないと強く思う。

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